志高湖へキャンプツーリング

10月の終わりに志高湖へキャンプツーリング。

しばらく暖かい日が続いていたが、この日に限って天気は曇り。日が全く差さないのでとにかく寒かった。

売店を兼ねた管理棟で受付。

設営完了。ラーメンを作って食べた後は、温泉&買い出しの時間までしばらくあたりを散策。

紅葉の盛りには少し早かった。

志高湖キャンプ場は車両乗入可で、料金も格安なので人気のキャンプ場。平日だというのに他にも10組程度のキャンパーがいた。サイトが広いので場所を選ばなければ隣接することもないので気楽にキャンプできる。

サイトへの乗入は徐行が原則だが、水際の場所ほどぬかるんでいるので、タイヤを取られた跡が轍になっている場所も結構あった。自分のバイクもそれなりに重いので、今回は水際を避けて設営した。

 

温泉も買い出しが出来る場所も隣接していないが、別府市街までバイクで10分程度なのでそれほど不便は感じない。これなら人気なのも当然だ。

定番の堀田温泉で芯まで冷えた体を温め、これまた定番のトライアルで晩飯の材料を買い込んだ。

温泉に入り、買い出し後にキャンプ場に戻ると辺りは真っ暗。夜になりますます気温が低くなり、すっかり湯冷めしてしまった。

今回試しに購入した焚火台を持ってきていて大正解。これが無ければ早々にテントに引っ込み寝袋をかぶっていなければ耐えられなかっただろう。あたりには枯れ枝がいくらでもあるので薪には困らない。とはいえスーパーの袋いっぱいの薪でも2時間程度しかもたないので、晩飯の後にコーヒーを飲み、この日は22:00くらいに就寝した。テントの中で寝袋に入っていればそれほど寒さは感じなかった。

翌日は快晴。風は冷たかったが日差しは暖かく、外で食べる朝食が気持ちよかった。

朝食後、ゆっくりと撤収をはじめ、9:30にキャンプ場を後にした。できれば岩下コレクションにバイクを見に行きたかったが、前日は寒さでそれどころではなく、翌日は早すぎてまだオープンしていなかったので、またの機会にするとしよう。

 

志高湖キャンプ場は初めての利用だったが、トイレや炊事場はきれいで管理が行き届いており、近隣に温泉や買い出しできる場所も多く、利便性は高い。次は桜の季節にでも行くとしよう。

グッドナイト アンド グッドラック:上質な演出が光る社会派作品

f:id:Martin-A:20181011082710j:plain

評価:3.5点(5点満点中)

総評:

2005年公開のアメリカ映画。ジョージ・クルーニーが監督、脚本を務めた作品。1950年代、ジョセフ・マッカーシーによる赤狩りの脅威が吹き荒れた時代に立ち向かったCBSのニュースキャスター、エドワード・マローとそのスタッフたちの姿を描いた作品。

実話に基づく作品であれ、フィクションであれ、社会的なテーマをメインに据える作品には、メロドラマとノンフィクションドラマの2種類に分類できる。

前者の多くは社会的なテーマを与えつつ、おおむね勧善懲悪的な作品と同等の構造を持っており、起承転結がはっきりしている場合が多い。一方で後者の場合は事実に基づき作品が展開されるため、所謂物語的な起承転結の構造よりも事件・人物に焦点が当たる傾向が強い。

本作は後者の典型的、かつ非常に質の高い作品と言える。メロドラマ的な脚本に仕立てることも可能な題材だが、情緒的な演出を可能な限り抑えて当時のマロー達の奮闘をむしろ淡々と描いている。モノクロの画面、BGMを極力排除した演出もその意図に貢献しており、非常に効果的だ。作品のテーマと方向性、そして演出が高いレベルで整合しており、製作者としてのジョージ・クルーニーの優れた才能をうかがうことが出来る。

本作が制作された時代背景としては、アメリカのブッシュ政権が2期目を迎えており、イラク戦争後に制定された愛国者法等を巡り保守とリベラルの間で大きな軋轢が生じていた時代でもあり、その中でマッカーシズムを取り上げた本作は、ハリウッドの典型的なリベラルであるクルーニーの政治的スタンスがよく表れている作品とも言える。一方で本人の政治的主張はむしろ控えめであり、思想性を離れて優れた演出を認めることが出来るあたり、さすがに芸能一族に生まれたサラブレッドと言うところだろうか。本人もプロヂューサー役で出演し、アカデミー賞を受賞しているのだが、本作を見るとむしろそれがジョージ・クルーニーであると気づかせないような演技であり、彼自身が本作を「ジョージ・クルーニーの映画」にすることを避けていることがよくわかる。エゴの強いスターにはなかなかできることではないし、それができるだけでスター出身の監督としては上出来だろう。

本作はメロドラマにあるようなカタルシスを得られることはなく、結末もむしろ苦いものが残る内容だ。作品のメッセージが最後のマローのスピーチにあることも明確であり、その内容もTV業界に対する告発とも言える内容だ。「エド・サリバンショーではなく教育政策を、クイズ番組ではなく中東政策を」と言うのはマローのスピーチは分かりやすい「無理のある正論」だ。若者ならともかく、社会に出てそれなりの職責を果たした経験のある者ならむしろCBS会長のペイリーに心情を寄せたくなるというものだ。そのような正論を吐くマローは、空気の読めない人物ではない。そんな人物が3大ネットワークでキャスターの座を得られるはずがなく、むしろ「空気を読まない」のだろう。赤狩りを批判し、保守派から攻撃されながらもその地位を守ることが出来たのは、彼が無辜の市民ではなく、3大ネットワークを代表するアンカーの一人であったからとも言える。彼とスタッフはマスコミの影響力を活用し、無謀ではなく勝つための戦いを繰り広げるのだ。

ならばマローの行動は高く評価すべきではないのか?そうではないだろう。すでに高い地位うや声望は、自身を守る壁であると同時に自らを縛る枷ともなる。寄せられる非難やスポンサーの離反など、地位のあるものほど避けられるものなら避けたいものだ。それでもなおその枷を最小限にするべく狡猾に立ち回り、自らの信念の為に行動する。それは誰にでもできることではない。本作は情熱の赴くままに行動する若者ではなく、酸いも甘いも嚙み分け、メリットとデメリットを図り理性的に行動する「大人の戦い」を描く物語だ。ならば痛み分けともいえるその結末は本作にふさわしいと言えるだろう。

『Far Cry3』殺伐とした世界でトリガーハッピー?

f:id:Martin-A:20181009204415j:plain

Far Cry』シリーズは今やUBIの看板IPの一つだが、本作『Far Cry3』が初挑戦。FPSには慣れていないので難易度はEASY。プレイ時間40時間でクリア。拠点と電波塔はすべて開放。EASYとはいえ初心者にはなかなか厳しく、ミッションによっては何度もやり返すことになったが、最後まで攻略サイトを見る必要もなく楽しむことが出来たあたり、ゲームバランスは非常に良い。

難易度EASYの場合、エイムアシストが付いており、初心者としてはかなり助けられる。それでも終盤のストーリーミッションはいちいちエイムしている余裕がないレベルでそこかしこから敵に襲われるものの、そこまで到達しているころには操作にも慣れているので特に詰まることもなし。正直難易度はもう少し上げても良かった。

Far Cryシリーズは4や5の実況動画を観たことはあったのだが、実際に本作をプレイするまではもっとガンガンに撃ちまくるゲームだと思っていた。いや、ストーリーミッションは大体そんな感じで思う存分トリガーハッピーになれるのだが、時間の大半を費やすことになるサイドミッション(特に拠点奪取と殺害依頼)の印象が大きく異なる。

f:id:Martin-A:20181009210014j:plain

どちらかと言えばサイドミッションはステルス&スナイプがむしろ重要で、トリガーハッピーなプレイスタイルでもミッションは達成できるが、ステルス&スナイプのほうが経験値の入りが良いし、素人には結局こちらのほうが効率が良い。終盤になるとひたすらSRでスナイプするだけのお仕事になってしまうのは仕方のないことか。

f:id:Martin-A:20181009210056j:plain

あとビークルの運転が結構楽しい。種類も豊富だし、オープンワールドなので好きな道を好きなように爆走するのはそれだけで爽快だ。FPS視点の捜査だと下方の視界が十分ではないので道が見えづらいのだが、別に道でなくとも走れるので特に問題は無かった。

f:id:Martin-A:20181009210338j:plain

ストーリーはひたすら殺伐としている。癒しの要素が全くない。なんと言うかバースにしろホイトにしろキャラ的には三下タイプの悪役で、変な掘り下げもないのは逆に好感が持てる。この手の悪役に「実はこんな過去があって...」的に変な理由付けをするのは正直なところ興ざめする。クズはクズのまま、斯様に清々しく散ってほしいものだ。

f:id:Martin-A:20181009210733j:plain

でもプレイした後の印象だとバースはそれなりにまともなのかなとも思った。ちょっとシスコン気味で、ちょっと故郷のこんな村が嫌になって、都会(行ってませんが)で一旗あげたくなって、ちょっと地元で成功したパイセンにそそのかされちゃって、行き着いた先が海賊でしたってだけで、案外とステレオタイプな設定なのは少し意外だった。そんな掘り下げがいがあると思われる彼も、そんなことはなくあっさり死んでいくあたりスタッフに共感が持てます。でもボス戦が単なるボタン押しイベントなのはちょっと興ざめする。その後のシリーズでは改善されているようだが。

この内容で、セール時には¥1000以下で買えるのだから十分満足。5年前のゲームですが、もはやグラフィックの進化にはそれほど関心がないファミコン世代には十分満足。満足したので4や5はプレイしないかも。

ナイトクローラー:映画の焦点。テーマとドラマとキャラクター

f:id:Martin-A:20181005080244j:plain

評価:3.5(5点満点中)

総評:

2014年公開のアメリカ映画。ルー・ブルームは、金属泥棒で糊口をしのぐ学歴も仕事も持たない男。ふとしたきっかけでフリーのニュースカメラマンの世界に足を踏み入れ、手段を択ばずニュースを追い求めてゆく...

正に「Nightcrawler」。夜を這いずり、街を這いずり、現場を這いずる。感情のない笑顔で追従する、爬虫類のような表情の男。正しくトリプル・ミーニングな「Nightcrawler」ルー・ブルームを、ジェイク・ギレンホールが不気味に演じている。

このようにマスコミ、報道の最前線であり、汚れ仕事的な意味での最底辺、いわば業界の裏側をテーマとする作品は、映画に限らず洋の東西を問わずありふれたものであり、やもするとそのテーマ故に凡庸な作品として埋もれがちとなりうる。

本作を他の類似作から際立たせているもの。それは映画への焦点の当て方だ。本作は所謂マスコミの裏を暴き、報道の在り方を問う、といったテーマが主題の作品ではない。フリーカメラマンという主人公の設定はいわば舞台装置にすぎない。本作がフォーカスしているのはあくまで主人公ルー・ブルームの生態だ(生き様と言うには抵抗がある)。

本作において、ルー・ブルームという男は典型的なサイコパスとして描かれている。

karapaia.com

強引な取材、ライバルの蹴落とし、人を騙し、操る。相手の弱みに付け込み自らの利益のためには他を顧みない。その反社会的なパーソナリティが、建前としての社会正義を追及する報道の世界で身を立てることに資することとなる。ルーを通じていわば”TVニュース”の本質をあぶりだしながら、その矛盾を問うことなく映画はただ彼がひたすら事件を追い、自らの利益にまい進する姿を追う。本作はマスコミやニュース番組の欺瞞性を説く映画ではない。あくまでそれらは舞台装置だ。本作の実態は、その舞台装置にサイコパスなキャラクターを置いたピカレスク映画なのである。

テーマではなくキャラクターに焦点をあてた映画であるが故に、最も重要なのはキャスティングとその演技力だが、ジェイク・ギレンホールは見事にその期待に応えたと言える。映画の中でルーが感情をあらわにするのは1回のみ。あとはその感情のない姿を不気味に演じている。「感情のない」とは言うが、作中彼は何度も笑顔を見せる。しかし本当に感情が感じられない笑顔なのだ。タイトルの通り笑っていても爬虫類的で、笑顔のマスクでもかぶっているような表情。目は決して笑っていない。よくもまあこんな表情を作れるものだ。ジェイク・ギレンホールは『ドニー・ダーコ』でもそうだったが、精神的に問題を抱えているキャラクターを演じると実にいい仕事をする。

本作のようなテーマでドラマに重きを置く場合、むしろ凡庸な人物を主人公にして、悩みや挫折を通じて答えを見つける、いわばピルドュクス・ロマンになりがちである。この場合、主人公の成長物語を通じて、その不可欠な要素である挫折や悩みにテーマを絡めることでテーマとドラマの双方を追及することが出来るためだ。

しかし本作はテーマの追及を捨て、キャラクターとドラマに焦点を絞っている。ルーは決して成長しない。自らの利益のためにひたすら利己的に行動するだけだ。そこに「利己的」という感情や目的があるのかも分からない。ただ何も考えずにそう振舞っているのかもしれないとすら感じられる。思うに彼は「ニュース」そのものに特段の関心は持っていない。関心があるのはその商業的な価値だけだ。自分にとってどれだけ得になるのか、それだけを考えている。だから自らの在り方、報道の在り方、ニュースの在り方に関心を持たない。関心を持たないから疑問を感じない。テーマの追及にあたりこれほど向かない主人公もいないだろう。だからこそ本作はニュースをテーマとした映画ではなく、サイコパス的なキャラクターを描く映画なのだ。仮にルーが自らの行動に疑問を感じ、業界の欺瞞に苦しみ...などと言うドラマを展開すれば、本作はひどくちぐはぐで且つ退屈な作品となっていただろう。脚本家は正しくその点を理解している。映画に限らず漫画でも小説でも、焦点を誤らない作品というものは一定の質が保証されているものだ。そこに上質な演技が加えられれば良作としての評価は妥当だ。本作は少なくともその水準に達している。

ピエロがお前をあざ笑う:先達の偉大さよ

f:id:Martin-A:20181003084357j:plain

評価:2点(5点満点中)

総評:

※本作および関連作品のネタバレあり

2014年のドイツ映画。本国では大変評価が高く、ハリウッドでのリメイクも決まっているとのこと。全く知らなかった作品だが、ケーブルTVの番組表にある”必見の大どんでん返し!”的な煽り文句を見て視聴したのだが...

はっきり言えば「劣化版ユージュアルサスペクツ」。

なんと言うか、観客を騙したい、驚かせたい、と言う制作側の意図は分かるんだけど、悲しいまでにユージュアルサスペクツ(以下US)なんだよな。具体的に言うと、脚本の構成がそのまんまUS。

 

①映画冒頭にカットインされる事件の情景と示唆される犯罪の破綻

②捜査側と対峙する犯罪の参考人という冒頭

参考人の供述、モノローグという形で事件の経緯が語られるストーリー

 

①~③は作品全体の構造であり、開始10分程度で提示されている。どんでん返し云々と言った映画の煽り文句を見て本作に興味を持ち、更にUSを観たことのある人なら、もうこの時点でこの映画が推理小説で言うところの「信頼できない語り手」*1を扱うものだと気づいてしまう。なぜなら①~③はまんまUSの冒頭、捜査官とキントの構図そのままだから。「ああ、こいつ(ベンヤミン)の言うことは最後にひっくり返るんだな」と分かってしまうので、その後の内容も「さてさてどこを伏線に使うつもりなのかな」といった視点で見がちになってしまう。

むしろそう思わせた挙句に、全く別の展開を見せれば驚きもあるのだが、その後の展開は、

④捜査側人物の指摘・追及による参考人供述の大転換(どんでん返し①)

   US→「実はキートンこそがソゼだったんだあっっっ!」

   本作→「実はお前は多重人格で、仲間なんて存在しないんだあっっっ!」

参考人の仕掛けた真相の判明(どんでん返し②)

   US→キント「実は俺がソゼだったのさ」

   本作→ベンヤミン「多重人格と思わせることが狙いだったのさ」

というもので、やはり最後までUSなのである。どんだけ好きなんだ。

④、⑤の「どんでん返し」の内容も期待値の割に今一つ。それまでの思わせぶりなシーンが有効に使われず、突然ベンヤミンの母親が実は多重人格とかいう設定が登場するあたり伏線の張り方が拙い。⑤に至っては無理があり過ぎる。捜査官が必要もないのに無理やりベンヤミンが多重人格であると気づきに向かい(そうとしか見えない。それを誘導するような描写がほとんどないのだから)、証人保護PGMが適用できないので同情し、逃がした挙句新しい身分の為に本部のサーバへのアクセスも許す、という展開はいくら何でもご都合主義に尽きる。仮にもコンピュータ犯罪の(元)責任者である人物が、小物とはいえハッカーに本部サーバへのアクセスを許すなど現実味がないにもほどがある。「ソーシャルエンジニアリング」の一言で片づけられるもんじゃないでしょ。どれだけ万能なんだ「ソーシャルエンジニアリング」。

要は⑤のどんでん返しの根底にある主人公一味の計画は、捜査官のリンドベルグがとんでもない無能であることを前提にしか成り立たない杜撰さなのである。

一応フォローしておくと、主人公達はリンドベルグの無能さ(?)に闇雲に掛けてるのではなく、過去、経歴をハッキングしたうえで「ソーシャルエンジニアリング」を仕掛けている、と言う体にはなっている。その点はきちんと冒頭でも終盤でも描写されている。その点は認める。でも無理があり過ぎることには変わりない。

この映画の悲しい点は、「終盤にどんでん返しがある作品」であることが宣伝文句になっている点なんだよな。それが無ければ(そしてUSを観たことが無ければ)上記のような面倒なことを考えずにどんでん返しを楽しめただろう(でも終盤の展開はやっぱり無理があるよね)。一方で日本ではマイナーな本作は、そんな宣伝文句でも打たなければ見てもらえないだろう。実際自分がそうだった。

結局見てもらえないか、観られた挙句USの劣化品扱いされる運命の悲しい作品。

でもタイトルは原題も邦題も良い。どちらもダブル・トリプルミーニングになっていて、映画を見た後になるほど、と思わせるタイトルだ。この点は評価できる(邦題のセンスは良いとは言えないが)。

偉大過ぎる先達の背中を追いつつ、追いつくことすらかなわなかった作品。でもUSをたことのない人なら楽しめますよ。まあそんな人はこのブログを読むこともないでしょうが。

『Stronghold HD』”防衛”が楽しい

f:id:Martin-A:20180930104720p:plain

城を防衛することが楽しい。本作を一言で評するならばこれに尽きるだろう。

2002年に発売された、RTSでは古典に入る作品。2013年に発売されたHD版をプレイ。

基本的なUIは『Age of Empire』と同じであり、造りの面では非常にオーソドックスな作品である。その本作の特徴は”防衛”に主眼を置いている点である。基本的に守って守って守り抜く。守るが勝ちなRTSなのである。

そう説明すると地味なゲームであると感じられるかもしれない。ストラテジーゲームの楽しみは戦闘にあり、敵を攻撃して破ることがカタルシスだ、という向きもあるだろう。しかしなかなかどうして”防衛”が楽しいのである。いや、楽しい、と言うよりは”楽(らく)”なのだ。まったりと楽しめる。

正直なところAOEなどのRTSにおける戦闘ってそれほど楽しめないのである。むしろ面倒と感じることさえある。RTSの多くの作品における戦闘は、「攻めて勝つ」ことが目的であり、それは結局古くからの格言にある「城攻めは防衛の3倍の兵力が必要」ということであり、せっかく内政に勤しみ大事に育てた軍隊を、湯水のように消費した挙句、見積を誤った結果攻め落とすことが出来なければ再度軍備を整える、というサイクルが自分にはだるいのだ。(ゲームによってはそこで詰むものもあるし)

『Stronghold』の場合、全21ステージで構成された軍事キャンペーンのほとんどが「自分の城を守り切る」ことが勝利条件となっている。家を建て、人を集め、木材や石などの素材を集め、食料を確保する。内政が軌道に乗れば軍備を整え、敵の侵略を待ち、これを撃退する。数をそろえることよりも城を整備することが重要なのだ。

f:id:Martin-A:20180930110756p:plain

とはいえ所謂タワーディフェンス的な要素はむしろ薄いと言える。確かにそれが重要となるミッションも存在するし、実際の防衛ではタワーディフェンスの手法(安い木の柵で通路を作り、敵兵の流れを誘導するなど)は役に立つが、それほど重要と言うわけでもない。むしろ本作は兵站ゲームに近い。一定のサイクルで発生する敵の攻撃に対し、資材と食料を如何に確保し、軍備と防衛を整えるのか?自前で整えることも出来れば市場から調達することも出来る。時間をお金で買うか、時間でコストを抑えるか?優先すべきは兵隊か?城か?各ミッションにより条件は異なる。はじめから所有する資材や食料の量、軍備の内容、侵略の間隔。ミッション毎の初期条件を踏まえて最適な内政と兵站を整えることが本作の魅力だ(なので本作にタワーディフェンス的な楽しさを期待すると裏切られるかもしれない)。こちらから打って出る必要がほとんどないので、引きこもりながら内政に軍備にまったりと勤しむことが楽しいのだ。

f:id:Martin-A:20180930111647p:plain

大部分のミッションは一定時間砦や城を守り切ればクリアとなるので、1ミッションの時間もそれほど長くない。やめ時の見つけられないストラテジーゲームとしてはこれもありがたい。とはいえ中には一定の資材を一定数集めることが勝利条件となるミッションもあり、その場合延々と続けて城と軍備を拡張することも出来る。*1

f:id:Martin-A:20180930112031p:plain

f:id:Martin-A:20180930112053p:plain

21ある軍事キャンペーンには、3つほど攻城専門のミッションがあるのだが、これが難しい。他の防衛シナリオと比較してもけた違いだ。これはこれで軍備の補充が一切できない条件で、試行錯誤しながら攻め口を考える面白さがあるのだが、3つもあれば十分。やはりまったりと防衛を整えることが本作の魅力だろう。

f:id:Martin-A:20180930112628p:plain

f:id:Martin-A:20180930112645p:plain

5つの政治経済キャンペーン、21の軍事キャンペーンを難易度普通でクリア。所要時間はだいたい60時間弱。¥150でこれだけ楽しめれば十分だ。続編のCrusaderも次のセールで購入してみようか。

*1:下のショットはその一例。石弓兵500人で敵を迎撃。敵、リスポーン地点からほとんど動けずに全滅

『地球防衛軍4.1』設計が秀逸。設計書を見てみたい

f:id:Martin-A:20180928092301j:plain

地球防衛軍4.1

しばらくさぼっていたので久々の更新。

例によってSteamのサマーセールでいくつかゲームを購入しましたが、本作もその一つです。

2015年発売なので3年前(オリジナルの『地球防衛軍4』であれば5年前)の作品ですが、これはハマりましたね。夏頃に始めたのですが、現在プレイ時間は300時間に届きそうです。

巨大生物、怪獣、ロボットなど異星人の侵略を、地球防衛軍(以下EDF)の一員として撃退する、と言うコンセプトであり、所謂ワンダバ的世界観のゲームです。長年にわたり特撮やアニメで使い古されたテンプレートですが、ともすれば古臭く見られがちな題材を、秀逸な作品に仕上げています。地球へ侵略する異星人が敵でありながら、スーパーヒーローが現れず、主人公をEDFの一員としたコンセプトが素晴らしく、ともすればゲーム上の制約となりがちなヒーローの存在と言う呪縛から解放され、他にはない個性的な作品となったと言えます。

f:id:Martin-A:20180928094640j:plain

コンセプトが秀逸な本作ですが、同時に設計面から見てもすぐれた作品であると言えます。プレイ方式はミッション形式で、合計90近いミッションを次々にこなしてゆき、最終ミッションを完了すればゲームクリアです。90ミッションと言う数は本作のようなTPSタイプのゲームではかなり多いほうだと思いますが、各ミッションの構成要素を見ると、基本的に

 

①敵のタイプ・グレード

タイプ(蟻型/蜘蛛型/蜂型/ドローン型/ロボット型/その他ボス系)

グレード(白→赤→紫→金→クイーン)※例:蟻型

②マップタイプ

高層ビル街/河川敷/住宅街/地下/谷/山岳等役10種類程度?

③ミッション完了条件

大多数のミッションは敵の殲滅でクリア。初期配置型と順次発生型の2タイプがあり、前者は初期配置された敵が全滅すると次の敵が配置され、すべてのWAVEを撃退してクリア。後者は放置すると無限に敵が発生する巣や輸送船を破壊し、マップ上のすべての敵を撃退してクリア。

また、いくつかのミッションでは「最終WAVEまで進み、一定時間生存する」など特殊な条件がある。

 

の3要素で構成されています。

設計として何が優れているかと言うと、先にこれら3要素についての仕様を決めてしまえば、各ミッションはその組み合わせで作成できるという分かりやすさです。極端な話、全ミッション数を決めたならば、あとは各ミッションについて上記3要素についての組み合わせを指定すれば開発に進めるであろうというレベルです。各ミッションの開発順序を決める必要もないですし、大半のミッションは並列で開発できるでしょうから、管理者、設計者、開発者いずれの点からみても特筆すべき分かりやすさと言えます。

また、この設計・開発構成の優れた点は、開発が進んだ後の調整の容易さもあります。開発後のテストプレイで判明した課題について、ゲームバランスの調整で対応する際にも、基本的にはミッション別に上記3要素についての調整を行えばよいので、作品全体に影響するような調整を行うリスクを避けることが出来ます。

f:id:Martin-A:20180928102310j:plain

このように作り手視点で見た場合に優れた作品ですが、プレイヤー視点ではどうなのでしょうか?上記の3要素は設計視点では優れていますが、一方で似たような敵、似たようなステージ、似たような完了条件、という陳腐化のリスクを有しており、90ミッションと言う数を考慮するとプレイヤーの「飽き」を招きかねません。

本作では「兵科」「兵装」のシステムでその点を超克しています。

f:id:Martin-A:20180928102742j:plain

プレイヤーはキャラクターとして「兵科(レンジャー/ウイングダイバー/エアレイダー/フェンサー)」から4つのうち1つを選択し、「兵装」として装備する武器を選択し、各ミッションに臨みます。4つの兵科にはそれぞれ特徴や長所短所があり、兵装には短・中・長距離、個別/範囲攻撃などの特性があり、その組み合わせは多岐にわたります。

内容に応じて、兵科ごとに適した兵装を選択しなければクリアすらままならないミッションもありますし、同じミッションでも兵科が異なればプレイ感は大きく異なり、このあたりが構成面での陳腐化リスクを取り除くことに貢献していると感じます。兵装は各ミッション、難易度により出現する内容も変わり、高難易度で先のミッションであるほどレベルの高いアイテムが出現し、ハクスラ的な楽しみもあります。(でも武器稼ぎのミッション周回は辛かった...)

また、構成要素②のマップについても、他の面で登場した高層ビル群が、別の面で破壊されつくして廃墟の平原となっているなど、同一マップを使用しながら別マップと同等とも言える内容を提供するなどの工夫もあり、私個人は飽きることなく最終ミッションまで楽しむことが出来ました。

f:id:Martin-A:20180928103829j:plain

更にゲーム仕様だけでなく、演出面も楽しめる作品です。(人を選ぶとは思いますが、、、)

無能感あふれるEDF司令部、死亡フラグを立てまくるレンジャー隊員(「この戦いが終わったら結婚するんだ、とかいうのは縁起が悪いらしい...」とかメタなコメントまで発する)、外面に反して妙に可愛らしいウイングダイバー(掛け声で「おーっ」ってのが可愛い)、囮のくせにに自身満々なフェンサー等々ネタ感にあふれていて、このあたりのセンスは最高ですね。(ですが最終ミッションは熱い。激熱です。EDFEDF!)

全兵科でNormalを全ミッションクリアし、Hardもレンジャーで全クリ、他兵科も70%クリア、と言うところで現在は他のゲームの傍ら1日1ミッション程度プレイしています。サマーセールでのお値段は二千円足らずでしたので、ボリューム内容ともに満足のいく作品です。(以下ちょっとネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:Martin-A:20180928105955j:plain

クリア後の最終画面。ここまでの盛り上がりがすごいんだ。センスよりロマンに全振りした快作。早く5をSteamで出してくれ!