『Serious Sam 3:BFE』 ”おバカでタフでノリノリなFPS”ではない

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『Serious Sam 3:Before First Encounter』をクリア。難易度はノーマル。所要時間は19時間。

シリアスサム・シリーズは本作が初プレイだが、前作、前々作を未プレイでも全く問題なし。”地球を侵略するエイリアンを主人公がブチのめす”とだけ認識しておけば問題ない。何ならその程度の認識すら必要ない。迫りくる敵をとにかく倒せばいいだけの、オールドファッションFPSの味わいが深い作品だ。

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本作の発売は2011年だが、FPSに革命を起こした『Half-Life』から10年以上も後発の作品としては、驚くほどに古臭い作品と言える。シナリオドリヴンではなくあくまでゲームプレイ中心の構成や、ひたすら押し寄せる敵を倒し続けるコンセプトは正に『Half-Life』以前の王道FPSと言えるだろう。それでも本作の評価はそれなりに高く、Steamのレビューでも”非常に好評”を維持している。やはり皆FPS好きなのだな...

オールドファッションなFPSが、グラフィックやモーションなど技術的に現代の装いを備えて現れた作品と言えるので、正直なところシナリオや演出について細かく評価する作品ではない。そのため、感想として書くのはゲームプレイが中心となる。

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本作をプレイする前の”Serious Sam”シリーズについては、「とにかくアクの強いFPS、大量に押し寄せるカミカゼのようなグロい敵キャラを、とにかく銃やロケランをぶっ放して蹴散らすゲーム」といった印象を持っていた。要は”とにかく銃持って突っ込んでぶっ放せばいいんだろっ!ヒャッハー!”なゲームだと考えていたのだが、実際にプレイするとその印象は大きく変わることになった。

アクの強さも、敵が大量に押し寄せる点もその通りだったが、本作はただ銃をぶっ放せばクリアできるほど単純なゲームではなかった。とにかく敵の量が大量である点もそうだが、意外に敵が硬い。最下層のモブはハンドガン2発で沈むが、その上位程度のモブですら、もうハンドガンでは捌けない。近距離でのダブルバレル一発、もしくはアサルトライフルを10発以上叩き込む必要がある。中型より大きなモブになるともうロケランや迫撃弾でないと処理できない。こういった敵キャラが大量に延々と押し寄せてくる。

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考えなしに突っ込んでいけば速攻で溶かされる。本作のステージは、終盤ほど開けたエリアが多いため、四方八方から攻撃を受けると逃げる暇もなくゲームオーバーとなる。そのため、慎重に歩を進めつつ、進行により出現する敵を引き撃ちで処理し、全滅させたのちに再度エリアを進む慎重さが要求される。エリア終盤の戦いでは、複数の方向からの攻撃を避けるため、建物の中や壁を背にした戦いを強いられ、弾薬が乏しくなれば被弾覚悟で飛び出し、補給後に再び遮蔽物の陰に隠れ、少しずつ敵を排除するなどの立ち回りが必要とされる。

そのため本作を所謂無双系FPSと思ってプレイするとかなりストレスが溜まるだろう。一方で上に挙げたようなゲームプレイは現代のFPSでは最早常識的な仕様であることを考えると、本作はそのコンセプトこそオールドファッションFPSだが、きちんと現代FPSのプレイスタイルを取り込んでおり、そのあたりが近年のプレイヤーからも一定の支持を受ける理由なのかもしれない。

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自分も結構本作を楽しめたのだが、正直なところ不満も多い。その最もたる点だが、本作は終盤がとにかくダレ気味なのだ。本作は全12ステージで構成されているのだが、各ステージとも基本一本道で、進行に応じて一定の敵が出現する仕様となっている。ステージが進むほどに、出現する敵がより多く、より強力になっていくのだが、結果として終盤のステージ程肥大化してしまうのだ。実際ラストステージはボス戦にたどり着くまでに2時間半以上を要することとなった。やっていることはどのステージもそう変わらず、敵の数と硬さと火力だけが増してゆくため、とにかく冗長感が強い。よほどのシューター・フリークでもない限り飽きが来てしまうだろう。この点は明らかなマイナスなのだが、本作のコンセプトを考えればこのスタイルは崩せないのだろうな...

そんな終盤にかけてテンションが下がる本作だが、ラスボス戦はなかなか出来が良い。ラスボス戦で使用できるジェットパックがとにかく楽しい。これまで地上を駆けずりまわっていた戦いが一変し、最高の起動性を手に入れることが出来る。これは本当に楽しかった。ラスボス戦のみでしか使えないのが大変残念。少なくともあと2,3のステージで使用できる場面を増やしていたら、本作の評価はかなり変わっていたと思う。

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現代FPSのプレイスタイルを取り込んだ、オールドスタイルのFPS。それが本作に対する評価だ。難易度は決して低くないが、シナリオよりもプレイ重視なプレーヤーならばその期待に応えることが出来る作品と言えるだろう。

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『ダークソウル2』 初見こそが真の醍醐味

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DARK SOULSⅡ~SCHOLAR OF THE FIRST SIN』をクリア。所要時間は70時間弱。クリアと言っても本編のみ。DLC攻略前に一旦感想を残しておく。ちなみに『DARK SOULSⅢ』は既にクリア済。3作目をプレイ済のプレイヤーが、前作である2をプレイした感想となる。

 

 

・モーションの差は慣れの問題で気にならない

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本作に批判的な向きからは”モッサリ”と評されるキャラのモーションだが、実際にプレイしたところそれほど気になるものではない。移動や攻撃等の基本動作について、確かにダクソ3と比較して敏捷性にやや劣る部分があるものの、本作の方が古いのだからそれは当然の事で、正直慣れれば気にならない。ダクソ3との比較論で”モッサリ”と評される原因は、寧ろ戦技システムの有無だろう。ダクソ3における戦技システムの存在はモーションと戦闘への躍動感を飛躍的に高める結果となった。ダクソ3のプレイヤーには皆お気に入りの武器と戦技があるだろう。そのため各武器固有の戦技が無い本作について”モッサリ”と評する結果となっているように思える。少なくとも本作の操作感について、プレイの支障となるほどのストレスを感じることは無かった。

・ボス戦の難易度はヌルい

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ダークソウルの華と言えばボス戦。幾多のプレイヤーに立ちはだかり、その心を挫く存在だ。しかしながらダクソ3をクリア済の身から言えば本作のボス戦はかなりヌルいものであると言わざるを得ない。第一印象の記事でも書いたが、その印象は本編クリアまで変わることは無かった。結局本編ボスの大半は初回もしくは2回目で撃破してクリアする結果となった。

ダクソ2と比較すると、ダクソ3のボスはそのスピード感と躍動感が段違いだ。正直なところ2年の差でこれほどの違いが出るのかと驚くほどだ。その差はそのままボス戦の難易度に反映されており、スピード感と敏捷性の向上はより正確で迅速な反応をプレイヤーに要求し、躍動感を増したモーションは演出面での迫力をさらに増大させている。実際ダクソ2の後にダクソ3をプレイした人はボス戦で相当に苦労したのではないのだろうか?そう思わせるほどに2作におけるボス戦の差は大きいと感じる。

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とは言っても本作もダクソ。難易度の差こそあれやはりボス戦は楽しい。ダクソ3にない本作の魅力として、ボスとの再戦が容易なことだ。ダクソ3では一部を除いてボスとの再戦は周回が前提だったが、本作の場合はアイテム”篝火の探究者”を使用することで同一周回での再戦が可能だ。ダクソ3の不満点の一つがここにあっただけに、これは引き継いでほしいシステムだった。

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ちなみに本編で最も苦戦したボスは、”忘却の牢”のボスである”虚ろの衛兵”。この手の複数タイプのボスがただでさえ苦手なのに、それが3体ときた。本作は複数タイプのボスが多いのも特徴だが、何故かこいつ以外はそれほど苦労しなかった。とはいえ10回目程度で撃破できたので、それこそ50回以上死んだダクソ3の”無銘の王”や”闇喰らいのミディール”に匹敵するボスは現れなかった。まだDLCと、本編における真のラスボスが観攻略なので、そちらに期待しておくこととしよう。

・ステージ攻略は数の暴力と豊富なギミック 

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 ダークソウルの”死にゲー”たる所以はボス戦のみではなく、ステージ攻略もまたその難易度を以てプレイヤーに立ちはだかる。ダクソ2もダクソ3同様か、それ以上の難易度のステージが待ち構えていた。おそらくステージ攻略で死んだ回数は本作とダクソ3ではそれほど変わらないと思う。

とはいえその難易度について、本作とダクソ3ではベクトルが異なる。ダクソ3は敵やアイテムの配置を含めたステージデザインがとにかく秀逸で、全ての要素がプレイヤーを殺しにかかっている、正に開発者のセンスと意地の悪さが光る逸品だった。一方で本作のステージ設計はダクソ3の洗練さには及ばない。難易度はどちらかと言えば敵の数で調整されている向きが多く、不用意に歩を進めると中ボスクラスの敵にすら複数に囲まれることも多い。ダークソウルは無双系ではないので、基本的に複数の敵(それがモブであれ)に囲まれると途端に難易度が跳ね上がる。そういう意味では本作のステージ難易度はダクソ3を上回る。ダクソ3がその洗練さ故に一度ステージ内容を把握してしまえばスルーが余裕であるのに対し、本作のマップはそうもいかない。これをやり応えと見るか、周回へのストレスと見るかはプレイヤー次第だろう。

また、本作のステージの特徴はそのギミックの多さだ。全ステージに共通する”ファロスの仕掛け”をはじめ、有名な”土の塔の風車”など個性的なギミックが多数登場する。そのヒントがあまりに少ないのは考え物だが、ステージ攻略に楽しみと華を添える意味で好意的に捉えられる。

総じて本作のステージ攻略について、その難易度はダクソ3と比較しても遜色は無いと言える。一方でその設計ベクトルはかなり異なるので好みによる差は大きいだろう。コツコツ攻略が好きなプレイヤーには本作のデザインが向いていると言えるだろう。

 

・相変わらず素晴らしい演出

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ソウルシリーズの魅力の一つは”滅びの美しさ”だ。ダクソ3では滅びつつある世界が舞台であったように、本作では既に滅亡して久しい王国ドラングレイヴがその舞台となっている。既に王国に陽は落ち、かつての栄華は灰塵と帰し、勇壮な城郭も華麗な神殿も廃墟へと沈んでいる。そんな世界を演出するデザインや音楽は今作でも素晴らしいものとなっている。

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滅亡した王国ドラングレイヴに既に生者は無く、どこへ行くにも出会うのは朽ち果てた廃墟と亡者のみだ。朽ち果てた王城、森に呑まれた城塞、湖に飲み込まれつつある祭壇など、今作の舞台もまた非常に魅力的だ。グラフィックについては当然ダクソ3に比較して時間的な劣後があるとはいえ、本作は本作で素晴らしい。特に本作の祭祀場であるマデューラが良い。常に黄昏に包まれたその情景は、ダクソ3の薄暗い祭祀場とは趣が全く異なる。既に落陽を迎えた王国を旅するプレイヤーの旅立ちにふさわしい舞台と言えるだろう。また、各ステージのマップデザインは総じて箱庭的な印象を受ける。ダクソ3のような広がりと奥行きには乏しいかわりに密度が濃い。これも良い悪いというより好みが別れる点とは言えるだろう。

・3作目と遜色ない十分なボリューム

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本編クリア迄にかかった時間はダクソ3と殆ど変わらない。もっともダクソ3についてはステージ攻略については事前に十分な情報があった一方、一部のボスで死にまくり攻略に時間がかかった。本作の場合は逆で、ステージ攻略については初見であるため時間がかかる一方、ボス戦はほとんど苦労しなかった。攻略サイトなどを参照してプレイする場合はダクソ2の方がボリュームが小さく感じるかもしれないが、それでもARPGとしては十分なボリュームと言えるだろう。本作もこれからDLCに取り掛かり、周回もする予定なので、最終的なプレイ時間は軽く100時間を超えるだろう。まだまだ楽しませてもらえそうだ。

・”世界”を描きつつも閉じたシナリオ

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本作のシナリオは世界に対して閉じている。不死の呪いと”始まりの火”の継承を巡る物語自体は前作とダクソ3との間を繋ぐ時間軸にあり、テーマとしてはやはりこの世界そのものの成り立ちを描くものであると伺える。一方で今作の舞台はドラングレイヴ一国となっている。この世界ではドラングレイヴ₌世界そのものではなく、ルカティエルやバンホルトの話からも世界には他にも多くの国が存在し、多くの生者の存在も推測される。その点がロスリック₌世界であり、世界そのものが滅亡に瀕するダクソ3とは異なる。主人公の目的もあくまで不死の呪い解くことがその目的であり、その過程で火継ぎの継承に巻き込まれる形となっている。果たしてこの火継ぎが本作における世界そのものの存続にかかわるものなのかは明示されない。本作における物語は一つの国、一人の個人の物語に集約されており、それが世界のなり立ちを左右するという点では一昔前のセカイ系的な文脈に近い物語と言えるのかもしれない。それが本作のシナリオをして”閉じている”と評した理由だ。世界そのものの終焉と再生を描いたダクソ3に比べると、本作のシナリオは世界に対して閉じて描かれている分小振りな印象があり、やはりシナリオの出来は最終作であるダクソ3に軍配が上がるだろう。

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・総評

本編をクリアしての感想としては、やはりダークソウルは初見プレイが一番楽しいということだ。前作ということもあり、当然ながら多くの点でダクソ3の後塵を拝する本作だが、ほぼ初見というプレイ条件がそれを補って余りあった。全く未知のマップを篝火を求めて探索する。敵の配置も分からずに恐る恐る歩を進める。何度も何度も敵に倒され、高所から落下し、不死の呪いを繰り返す。その道程の果てにボス霧に辿り着き、ステージをクリアする。この緊張感はやはり初見プレイならではこそだ。もしダクソ3をプレイ済で、本作について全く情報を得ていないのであれば、間違いなくプレイして損はないだろう。ダクソ3を未プレイであればなおさらだ。是非本作をプレイしたうえでダクソ3まで手を伸ばし、本シリーズがどれだけの進化を遂げてきたのか確かめることをお勧めする。

この後はDLC攻略に取り掛かる予定。悪名高いチャレンジルートにも当然挑むことになるが、それもまた楽しみだ。

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『Firewatch』 良質のドラマを嗜む

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『Firewatch』をクリア。所要時間は約4時間。

 

唐突だがあなたがゲームに求める物は何か?コンピューターゲームにおける”ゲーム”は一般的には”娯楽”を意味する。つまり”楽しむ”ことであり、EntertainmentでAmusementだ。FPSでもRPGでもSTGでもよい、多くのゲームはそもそも楽しむことが目的として内包されているメディアと考えてよいだろう。

何故そんなことを冒頭に書くのか?それは本作が”ゲーム”的な意味で楽しむことを目的とした作品ではないからだ。

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2016年に発売された本作は、ゲームのジャンルで言えば1人称視点の形式で展開されるADVだ。主人公のヘンリーは、森林火災監視員の仕事に応募し、夏の間ワイオミング州の監視員事務所で過ごすことになる。人生に疲れを感じた中年男が主人公である本作には心湧きたつような要素は存在しない。勧善懲悪もなく、異次元の恐怖もなく、奇跡や感涙を誘うような展開があるわけでもない。描かれるのはヘンリーの監視員としての日常と、同僚であるデリラとの無線を通した交流のみ。

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監視員としての日々を過ごすヘンリー。やがてその周囲に不穏な気配が漂い始める。事務所への侵入や、荒らされたキャンプ。不審な監視所、そして盗聴の気配。山火事の規模の広がりと歩を合わせるようにヘンリーとデリラを巡る状況も緊迫の度合いを増してゆく。やがて明らかになる真相と共に、拡大する山火事から非難するため、ヘンリーとデリラは監視員事務所を去り、物語は終幕する。

ミステリー的要素を含みつつも、本作のシナリオにおける主眼はヘンリーとデリラのコミュニケーションにある。認知症を患う妻の介護に疲弊し、逃げるように監視員の仕事に就いたヘンリー、過去の恋人との別れを未だに引きずるデリラ。お互いに孤独へ逃げ込んだ境遇にある2人が、作中で決して直接出会うことなく、無線を通じてコミュニケーションを深め、一つの事件を共有し、そして別れるまでを静かに描いたシナリオだ。

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まるで質の良い短編小説を読んだような感覚。本作をプレイした感想としてはそれに近い。人と人とのドラマを描く作品。自らの守備範囲で例えるならばシオドア・スタージョンポール・オースターの筆致に近いかもしれない。

つまり本作はそれらの作家と同様、”楽しむ”ことを目的とした作品ではないのだと思う。”娯楽”という言葉も今一つそぐわない。それは寧ろ”嗜む”ということが正しいのだろう。上質な音楽や料理を嗜むように、良質なドラマに感性を浸す。本作のプレイはゲームというメディアでそれを実現する一つの試みであると感じた。だからあなたがゲームに”楽しむ”ことを求めるのであれば本作は推奨しない。本作は”楽しむ”ではなく”嗜む”べき作品であるからだ。その”嗜み”に覚えがあるならば、本作はプレイするだけの価値があるだろう。

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本作はそのシナリオについて評価が高いだけでなく、様々な考察がネット上で展開されている。プレイ時間の短さや分かりやすい結論の無い展開が考察を盛り上げるのかもしれない。だが個人的に本作のシナリオに考察を巡らせるというのは野暮と言うものかもしれない。

ワイオミングでの夏が終わりを迎える。
この夏の出来事が2人の糧となるのか、傷となるのか、読者にそれを知る術はない。
一つだけ確実なのは、2人の人生がこれからも続いていくことだけ。

終焉も救済もなく物語は続いていく。

それで良いのではないだろうか?

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『Darksouls2』 ファースト・インプレッション

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『Darksouls2』をプレイ中。今年プレイした『Darksouls3』がシリーズ初体験だったが、その秀逸さに感嘆し、トロコンするまでにハマってしまった。2は今年のサマーセールで購入するつもりだったが、先日ダクソシリーズのセールが開催されていたので待ちきれずに購入してしまった。ようやくプレイ時間が10時間を超えたところだが、まだ先は長そうなので今の時点でのプレイ印象を残しておきたい。

プレイ前に実況動画を結構観ていた『Darksouls3』と異なり、本作についてはほぼ初見の状態でプレイしている。ネットでの評判やSteamのレビューを見る限り、本作はシリーズの中でも賛否両論の作品であるようだが、その点も踏まえて現時点の感想となっている。

・操作感について

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3作目との比較として、操作が”もっさりしている”という指摘をよく見かける本作。実際にプレイした印象としてはそこまで気にならなかった。むろん3との比較で劣後しているのは当然だが、所詮は慣れの範疇であると思う。3については戦技の導入もあり、キャラクターのモーションは躍動感が増しているので、そのあたりが2のもっさり感を相対的に助長しているのかもしれない。

操作系の設定がシリーズの中でも独特との評価も見受けられたが、基本的な入力は3とそう変わらないので混乱はしない。少なくとも操作感から本作を忌避する必要は無いようだ。まだ二刀流など本作独自のシステムを使いこなしていないので、そのあたりはおいおい慣れていきたい。(現在はガン盾で攻略中)

・ステージ攻略について

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現在”朽ちた巨人の森”、”ハイデ大火塔”、”隠し港”3ステージをクリアしている。あくまでその時点の印象だが、各ステージを攻略する際の印象は3とかなり異なる。簡単に言えば3は”デザイン重視”、2は”数の暴力”と言ったところだろうか。3の各ステージは、そのデザインと敵の配置がとにかく秀逸(意地が悪いとも言う)で、不用意に歩を進めると容易に敵に囲まれる。それ以外にも結晶トカゲや宝箱の配置など、プレイヤーを弄ぶかの如きアイデアがそこかしこに見られた。これに対して2はデザイン面では少々雑な印象を受けて、その難易度は敵の数に依存している気がする。最初の敵にエンカウントすると、わらわらと他の敵が現れ、その場を一時離脱するもその先でさらに複数の敵が待ち受ける、といった具合だ。正直なところ敵の配置についてはステージ設計を十全に活用しているとは言い難く、その分難易度を敵キャラの量で調整している印象だ。難易度で言えば2の方が難しく感じる。3は一度攻略して各ステージの設計を把握すれば難易度がかなり下がるのだが、2は何週目の攻略であれその数に苦労しそうな気がする。

・ボス戦について

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3作目と本作での一番大きな違い、というか3作目での進歩を感じたのがボス戦。3をクリアした後では本作のボス戦はかなり簡単に感じる(今のところは...)。自キャラを操作するうえではそれほど感じなかったもっさり感が、ボスキャラについてはかなり気になる。3よりも動きが鈍重に見えるので、相対的に難易度が低く感じられるせいか、今のところ”古き竜狩り”以外は初見で突破出来ている。今後のステージでこの評価が覆るか否か、楽しみでならない。”無銘の王”並みに苦労するボスに出会いたいものである。

・総評

10時間程度のプレイで総評も何もあったものではないが、楽しくて仕方がない。やはり初見でのプレイと言うのが大きい。本シリーズはオープンワールドではないが、”探索”の楽しみ(苦しみとも言う)”を存分に味あわせてくれるのが自分にとって最大の魅力だ。本作の物語世界については端緒についたばかり。まだまだドラングレイグでの道行を堪能するとしよう。

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『Half-Life』 現代FPSの源流を訪ねて

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Half-Life』をクリア。所要時間は18時間ほど。

 

 

今更の『Half-Life

本作のリリースは1998年。20年以上も昔の作品だ。なぜ今更そんなレトロゲームをプレイするのか?仕事の忙しさから15年近くゲームをプレイすることもなくなっていたが、3年ほど前から、またプレイするようになった。再開後は主にSteamでゲームを購入しているが、そこでハマったのがFPSだ。今でこそFPSは世界的にも地位を確立したジャンルだが、自分がゲームを盛んにプレイしていた中高生の頃(およそ30年以上前だ)ははっきり言ってマイナーなジャンルだった。そもそも当時は日本メーカーの黄金期であり、所謂”洋ゲー”自体に触れることが稀だったので、当時洋ゲーの主流となりつつあったFPSはほとんどプレイしていなかったのだ。

『Fallout4』や『Bioshock』を手始めに、『S.T.A.L.K.E.R』『Borderlands』『Wolfenshtain』『Metro』などの著名なシリーズ作品を楽しんできたが、多くのゲームブログ等で、これらのFPSゲーム群の源流と評されていたのが本作『Half-Life』だ。ならば一度プレイしなければなるまいと昨年のウィンターセールで購入しておいた。本作がリリースされた98年と言えば当時自分は大学生。正にゲームから離れつつあった時期であり、当時その存在も把握していなかった作品だ。正にゲーム空白期間を埋める意味合いを持つ作品と言えるだろう。

ストーリー主体且つシームレスなスタイル

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本作の革命的な要素としてよく指摘されているのが、FPSというジャンルに明確な「シナリオ」を持ち込んだ点だ。当時のFPSは作品の背景となる設定はあったものの、基本的には各ステージで配置された敵を撃破して進める戦闘主体のスタイルが主流で、昔ながらのシューティングゲームと基本的なスタイルは変わらなかったという。その旧世代の始祖にして代表的な作品として『Wolfenshtain 3D』が挙げられるが、この作品、少し前にプレイした『Wolfenstain The New Order』内でミニゲームとしてプレイできるのだが、実際にプレイしてみるとその指摘は良くわかる。当時RPGでは既にFinal Fantasyシリーズ等で、ストーリーに重点を置いた作品が主流となりつつあったが、その要素をFPSに持ち込んだことが本作の革新であると言われている。『Half-Life』では、政府所管の『Black Mesa』研究所に所属する科学者であるゴードン・フリーマン博士が、実験中の事故によりエイリアンの襲撃を受けた研究所からの脱出と真相の究明、そして反撃という物語が、それを妨害するアメリ海兵隊を交えた三つ巴の戦いというシナリオを軸に展開する。ゲームプレイも基本的にシナリオドリヴンな仕組みとなっており、実際一部ボス的キャラを除けば敵キャラの撃破はプレイ上必須ではない(本作のTAS動画を見るとほとんどほとんど敵を倒していないのが分かる)。敵を倒すことではなくシナリオを進めることがゲーム進行の目的となっているスタイルだ。ゲームにおける主体を戦闘からストーリーに置き換え、戦闘をゲーム演出の1要素に位置付ける。今でこそ当たり前でプレイしても驚きはないが、20年前の当時からすれば確かに革命的だ。とかくジャンルを問わずストーリー主体の作品は、「ゲームではなく映画だ」との批判が世に溢れて久しいが、その原点の一つが間違いなく本作ということなのだろう。

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一方で本作の特徴として挙げられるのは、そのシームレスなプレイスタイルだ。本作はエンディングを除けば所謂ムービーイベントがほとんどない。本作は主人公が研究所に出勤するモノレールに乗っている場面から始まるが、その瞬間からエンディングまでプレイアブルな状態なのだ。シナリオ主体の作品ならば、見せ場毎にイベントムービーを挟むのが定番だろうが、本作はひたすらプレイアブルな状態を維持し、シームレスなプレイ進行にこだわっている。それは結果としてプレイにスピード感を与え、エンディングまで中だるみすることなく緊張感のあるプレイ体験を可能としている。これは本作の大きな個性と言えるだろう。そして何よりイベントを挟まないそのシームレスな感覚が、プレイヤーの没入感を高め、ゲームプレイとシナリオのシンクロを高める効果を発揮しているのだと言える。そのクオリティの高さは近年の作品すら容易に比肩しうるものではない。本作が名作と呼ばれる所以はそのエポック・メイキングな位置づけのみならず、作品そのものの質にもあるということがプレイして良く理解できた。

未熟なシステムと完成度の高いデザイン

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純粋なシューターとして本作を見ると、やはりそのシステムの未成熟さが気になるところではある。全体マップやミニマップも存在しない。各チャプターがミッション形式に細かく区切られてもおらず、当然ミッション目的へのナビゲーションも表示されない。物理エンジンも発展途上の段階であり、射撃の重力補正も効かないため、ハンドガンが超性能のスナイパーライフル状態(アサルトライフルには申し訳程度のリコイルは存在する)だ。エイムは一部の武器でのみ可能。リーンは存在しない。遮蔽物に隠れてからのカバーアクションも出来ない。これらのシステムは本作以降の作品において、プレイの快適さやリアルさを追求する過程で実装され、これまで存続してきたものであることを考えれば、本作におけるシステムの未成熟さは当然のことだ。それは欠点には当たらないが、20年の時を経て本作をプレイするにあたり、そのハードルを上げるものであることは否定できない。

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しかし、である。自分が驚いたのは、このように貧弱ともいえるシステムにも関わらず、本作をプレイしてほとんどストレスを感じなかったことだ。本作のマップは20年前の作品としてはかなり広大で、いくつかのエリアに分かれたそのマップをシナリオに従って移動していく形式だ。各エリアは敵を倒しながら進むだけの単純なものではなく、次のエリアに進むための目的があり、そのためのギミックが多数用意されている。(例えば道をふさぐエイリアンを排除するために燃料と酸素のパイプを開き、電源を回復して爆破する、など)

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無論マップもミッション設定も無いので、迷いなく目的を果たすことは稀だ。しかしマップを進みつつ、敵を排除し、生き残りの科学者や警備員と接触する流れで自然とそのエリアにおける目的が達成できてしまう。マップの設計と、敵やNPCの配置、レバーやボタンなどのギミックの設定など、ゲームプレイに関係するデザインがとにかく秀逸なのだ。さらに言えば、自分は当初本作の日本語化Modが見つけられなかったので英語字幕Modを導入してプレイした。畢竟日本語でのプレイに比べて情報の理解度は相当に劣った状態であるにもかかわらず、戦闘や、パズルにも似たギミックをこなしつつ、ストレスなくプレイが可能なこのバランスは、現代の基準で見ても相当に高いレベルにあると感じた。

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マップも閉鎖的な環境に在る研究所に始まり、地下通路や水路を巡り、研究所を出て開けた環境に移り、渓谷や果ては地球外の惑星などバラエティに富んでいる。使用する武器もFPSでおなじみのハンドガンやライフルに加え、本作ならではの個性的な武器も揃っており、戦闘も飽きさせない。正直20年前の作品をこれほど面白くプレイすることが出来るとは思っていなかった。20年という時間の制約を超え得るクオリティの高さというものが在るのだな、とつくづく感心させられた。

全てはここから始まった

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数多のゲームブログで”現代FPSの原点”と評される本作。そのことに興味を持ちプレイした本作だが、なるほどその内容は評価を裏付けるものであった。そして同時に現代にも通用しうるその質の高さに驚いた。当然20年前の作品であるためグラフィックや操作性、システムなど様々な点で現代の作品には及ばない点もある。自分が本作をこれほど楽しむことが出来たのも、世代的に小学生でファミコン、高校生でスーファミ、大学生でプレステ、サターンと、CS機の発展に沿ったゲームライフを送ってきた世代であるため、本作の”古臭さ”が気にならないことも一つの理由だろう。さすがに物心ついたころからPS3PS4という世代にはちょっと厳しいかもしれない。

しかし本作のクオリティの高さや歴史的な位置づけといった評価は今後とも変わることは無いだろう。本稿では触れなかったが、現代におけるゲームの潮流であるModやオンラインプレイも源流をたどると本作に行き当たる。本作のModから派生した『Counter Strike』が現在でもなお『CS:GO』としてオンラインゲーム人気作品の一角を占めていることからもその点は明らかだ。興味があるなら是非プレイすることをお勧めする。その品質の高さに唸るだろう。Steamのセール時なら¥200程度で購入可能だ。

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ちなみにTwitterで本作の日本語化Modが見つけられない旨呟いた所、返信で配信場所を教えていただいた。現在日本語字幕で改めてプレイしている。SNSはこういう時本当に便利だ。興味のある方はブログにタイムラインを貼っているのでそちらをご参照。(提供者の方、ありがとうございました)

『Hacknet』 気分(だけ)はスーパーハカーなハッキングシミュレーター

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『Hacknet』をクリア。所要時間は7時間ほど。

2015年に発表された本作の魅力を端的に語るならば、下記の記事を見てほしい。

つまりはそういうことだ。本作は”ハッキングシミュレーター”と分類されているが、正に自分がハッカーとなる気分を存分に味あわせてくれる作品だ。

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一通のメールを受け取ることから本作は始まる。"Bit”と名乗るそのハッカーからのメールには「自分の死の謎を解明してほしい』と記されていた。プレイヤーはBitからの依頼に応えてその死の謎を求め、ネットの海に乗り出すことになる。

・尖ったシステム、尖ったUI

本作はゲームのジャンルとしてはADVに該当するのだが、その特徴として、とにかくシステムとUIにエッジが効いている。

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本作のプレイは終始上記に添付した画面で進められる。左上がアクセスした端末のディスプレイ、左下がこれまでに判明したサーバーや端末のマップ、そして右側が操作画面だ。"Bit"の死の謎を追うために、プレイヤーは様々なミッションを遂行する。ミッションは全て特定の端末をハッキングすることで進められる。与えられた情報から対象の端末のIPアドレスを突き止める。対象の端末にアクセスし、セキュリティを突破してハッキング。端末を掌握した後にミッションを達成する。ミッションの内容は情報の取得、削除、捏造など本作ならではのものだ。まさに”ハッキングシミュレーター”である本作に特化したシステムと言えるだろう。

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そのため本作のUIもまた、そのシステムに合わせた内容となっている。プレイヤーは画面右に用意されたコマンドラインに、状況に応じた命令を打ち込みゲームを進めていく。使用するコマンドはUNIXのようなコマンド式のOSや、Windowsコマンドプロンプトでお馴染みな基本的なものだ。とはいえWindowsのようなGUI式のOSしか触れた事の無いようなユーザーにとって本作のハードルは高い。使用できるコマンドはヘルプで見ることが出来るのだが、慣れないプレイヤーにとっては何をすれば分からないし、何をしているのかも分からないのではないだろうか?例に挙げたOS同様、スペース一つ、文字一つの打ち間違いでコマンドは正しく動作しない。本作を起動はしたものの、訳が分からず放棄したプレイヤーも少なくないと思われる。

ならば本作は無駄に作品のハードルを上げてしまったのだろうか?そうは思わない。本作は”ハッキングシミュレータ”である。プレイヤーに如何にハッカー気分を味あわせるかが肝だ。このシステムとUIはそのための演出であり舞台装置だ。これ以上に簡易なシステム、UIにすることは可能だろうが、それはおそらく多くのプレイヤーにとって幼稚なものとなり、シミュレーターとしての質を下げるものになる。本作のシステムとUIはシミュレーターの質を担保するギリギリのラインを維持している。それが一定のプレイヤーを切り捨てることになったとしてもだ。その決断は正しい。本作で味わうことのできる、自分が凄腕のハッカーになったような感覚はこのシステムとUIあってのものだからだ。

・ADVとしての評価

ADVとしても本作の質は高く評価できる。独特のシステムもあるせいか、難易度は高めに感じられるが、理不尽なものではない。自分はクリアまでに2か所ほど攻略サイトを見ることになったが、分からなかったポイントも、「そんなの分かんねーよ!」と言ったものはなく、「あー、あのミッションにヒントがあったのかー」といったもので、要は自分の気づきが足りなかったのだ。全てのミッションを解くためのヒントは、それまでに全て示されている。あとは何をすればよいのか?ツールを選び、情報を再度見直し、Try&Errorの繰り返しだ。一種のパズルゲーム的な要素のあるクラック&ハックと真っ当且つ誠実な造りの謎解きが組み合わさり、質の高いADVに仕上がっていると言えるだろう。

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・気分を盛り上げる最高のBGM

本作でもう一つ見逃すことのできない要素がBGMだ。とにかくその楽曲が優れている。単体で聴いてもすぐれた楽曲だが、プレイ中に聞いていると否応なくその臨場感が盛り上がる。ハリウッドのハッカー映画のBGMに使用してもなんら遜色がないレベルだ。本作にはサントラが同梱されているが、さっそくスマホに落として外出時にも聞いている。システムとUIと同レベルでハッカー気分を盛り上げてくれる最高の演出だ。

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・インディーゲームのお手本のような作品

Steamをはじめとするゲーム配信の隆盛により、小規模なインディースタジオの作品がヒットを飛ばすことも多くなった。しかしその実態は玉石混合と言ったもので、一つの成功作の影に多くの失敗作が存在することも良く知られている。面白い作品、質の高い作品を出すだけでは多くの石の中に埋もれてしまう。予算、人員の限られる中では大規模スタジオのようなプロモーションも望めない。作品そのものにユーザーの耳目を引く何かが必要となる。質の高いゲーム性にエッジの効いたシステムを兼ね備えた本作は、成功するインディーゲームの一つのお手本と言うべき作品だろう。

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『Replica』 デザインの勝利

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『Replica』をクリア。全12種類存在するエンディングの全てを見てはいないが、Trueエンディングらしきものは達成したので一応クリアと言うことにしておく。所要時間は約4時間。

2016年リリースの作品であり、約3年前の作品。プレイヤーは裸の状態で部屋に閉じ込められた状態。目の前には一台のスマートフォン。自分を監禁しているのは誰なのか?その理由は?このスマホは誰のものなのか?全てが不明のままゲームが始まる。

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スマホにログインするために必要なパスコードの解析に始まり、連絡帳、写真アプリのプロパティ、SNSの投稿、スマホに残されたあらゆる痕跡から持ち主の情報を追跡する。誰が、いかなる理由でこのような行為を強いるのか?スマホを探るうちに少しずつその謎が明かされてゆく。ディストピア的な世界観が伺えるその過程はなかなかにスリリングだ。

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本作はインディー・ゲームの傑作のひとつとしての評価も高く、Steam上のレビューも”非常に好評”だ。そのカギはやはり本作におけるUIのデザインにあるだろう。

本作の最大の特徴は、ゲームプレイが全てスマホ(を模したプレイ画面)上で完結していることにある。プレイヤーのあらゆる行動はスマホの中に限定され、スマホ上で可能なアクションの範囲内でゲームを進めてゆかなければならない。メールやSNSで持ち主の情報を探るのみならず、設定画面や検索ツールまでもがプレイ上重要な役割を持っている。正にスマホの機能を駆使して進めるゲームである。

既に紹介したように、本作はディストピア的なサスペンス/ミステリーと言うべきアドベンチャーゲームだが、そのシナリオだけを見れば幾多の映画、小説、コミックなどに影響を受けたことが伺える(エンドロールでも製作者がその旨を語っている)ものの、殊更オリジナリティがあるわけでも傑作と言うほどの内容ではない。高い評価の根底にあるのはスマホを利用したUIのデザインそのものにあり、それが本作の魅力の源泉と言うべきだろう。

このデザインが優れていると思うのは、応用が効くという点だ。本作のようなサスペンスに限らず、推理もの、ホラー、恋愛、感動的なドラマなど、テキスト系のアドベンチャーという形式であれば、どのようなジャンルにも展開することが可能だ。これはアイデアと言うよりはそのデザインの汎用性を評価すべき設計であると思う。

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自分はPC版をプレイしたが、本作はスマホ版もリリースされているので、未プレイの方はそちらをプレイした方が良いだろう。没入感はさらに増すこと請け合いだ。

アドベンチャーゲームとしての難易度は高めで、白状すると自分は攻略サイトの世話になってTrueエンディングを見ることになった。ヒントが全く無いような理不尽な謎は存在しないが、それなりの前提知識が必要な作品なので、そのあたりは人を選ぶだろう。