映画

アウトレイジ:作家の性(さが)と芸人の性(さが)

評価:2(5点満点中) 総評:※ネタバレあり 北野武監督による2010年の作品。続編の『アウトレイジ・ビヨンド』も観ているので、2作合わせての評価。 北野武という映画作家による作品であることを抜きにして、純粋に一本の作品として評価すると、まあ所謂”ヤク…

処女の泉:絵画めいた映像で綴る受難の物語

評価:3点(5点満点中) 総評: イングマール・ベルイマン監督による1960年のスウェーデン映画。氏の代表作と言っても過言ではないだろう。 未だ北欧神話の土着の神々への信仰と、キリスト教が混在する中世スウェーデンを舞台に、敬虔なキリスト教の信徒である…

グッドナイト アンド グッドラック:上質な演出が光る社会派作品

評価:3.5点(5点満点中) 総評: 2005年公開のアメリカ映画。ジョージ・クルーニーが監督、脚本を務めた作品。1950年代、ジョセフ・マッカーシーによる赤狩りの脅威が吹き荒れた時代に立ち向かったCBSのニュースキャスター、エドワード・マローとそのスタッフ…

ナイトクローラー:映画の焦点。テーマとドラマとキャラクター

評価:3.5(5点満点中) 総評: 2014年公開のアメリカ映画。ルー・ブルームは、金属泥棒で糊口をしのぐ学歴も仕事も持たない男。ふとしたきっかけでフリーのニュースカメラマンの世界に足を踏み入れ、手段を択ばずニュースを追い求めてゆく... 正に「Nightcraw…

ピエロがお前をあざ笑う:先達の偉大さよ

評価:2点(5点満点中) 総評: ※本作および関連作品のネタバレあり 2014年のドイツ映画。本国では大変評価が高く、ハリウッドでのリメイクも決まっているとのこと。全く知らなかった作品だが、ケーブルTVの番組表にある”必見の大どんでん返し!”的な煽り文句…

最後の晩餐~平和主義者の連続殺人:映画は凡庸、背景は複雑

評価:1点(5点満点中) 総評: 1995年のアメリカ映画。共同生活を営むリベラルな5人の大学院生が、ある事件をきっかけに保守的な傾向を持つ人物を家に招いては殺害を繰り返す、、、という内容で、一応ブラックコメディという色分けとなっていますがコメディ要…

マイ・インターン:都会のおとぎ話

評価:3点(5点満点) 総評: 2015年のアメリカ映画。非常に見やすい映画と言えます。主人公をはじめ悪人や嫌な奴は一切出てきません。視聴者の心に刺さるようなきついシーンもなく、ストレスなく安心して最後まで見ることが出来る映画です。最後まで気持ちよ…

レザボア・ドッグス:構成の妙

評価:4点(5点満点中) 総評: 92年公開のアメリカ映画。クエンティン・タランティーノ監督の初監督作品であり、本作の高評価を切っ掛けに、次作『パルプ・フィクション』で一躍スター監督の仲間入りを果たすことになります。また、日本におけるインディペン…

ワンス アポン ア タイム イン アメリカ:長所と短所がそれぞれ際立つ作品

評価:2.5(5点満点中) 総評 久々に見ましたが、やはり評価の難しい作品です。セルジオ・レオーネの遺作となった本作ですが、可もなく不可もない駄作でもなく、かといって非の打ちどころのない傑作とも言い難い。好きか嫌いかで言えば好きの範疇に入る作品な…

ノスタルジア:静謐な映像作品

評価:2.5(5点満点) 総評 1983年公開のイタリア・ソ連合作映画。ロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの作品です。 自分にとって映画が娯楽であるのならば、本作は映画と言うより映像作品として評価すべきであると感じました。物語としても娯楽要素はほぼ…

ハイ・ライズ:遅すぎた映像化

評価:2点(5点満点) 総評: 2015年に公開されたイギリス映画。SF作家J・G・バラードの後期3部作の1作を映像化した作品です。原作は既読。 一言で言うならば映像化するのが20年遅かった映画と言ったところでしょうか?バラードが本作の原作(本作では”原案”扱…

『マッドマックス』シリーズ:ヴィラン、カーチェイス、そしてV8!

『マッドマックス』シリーズ。MoviePlusで全4作品を連続放映していたので週末一気に視聴しました。シリーズ1~3はこれまでに何度も観ていましたが、最新作の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は初視聴です。 感想としてはとにかく『マッドマックス 怒り…

PLANET OF THE APES/猿の惑星 : 史上最も”オチ”が知られた映画に挑んだ結果は?

評価:3点(5点満点) 総評 1968年に公開されたSF映画の名作『猿の惑星』をベースとして制作された2001年公開のアメリカ映画です。 『猿の惑星』と言えばSF映画史上に名高い名作であると同時に、おそらく映画史上最もその”オチ”が知られている映画の一つでしょ…

アイ・ロボット:名作から生まれた凡作

評価:1点(5点満点) 総評 ※本作およびアイザック・アシモフ作品の一部ネタバレがあります。 2004年公開、アイザック・アシモフの名作SF短編集の名をタイトルに冠したSF映画です。SFは好きなジャンルなので、メジャーな作家はある程度読んでいます。その中で…

キャプテンスーパーマーケット:80年代風スラップスティック・ホラー・コメディ?

評価:0.5(5点満点) 総評 カルト映画の傑作として有名なサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』シリーズの3作目。3作目ではありますが、別段前作、前々作を見ておく必要はありません。一応冒頭に前作のダイジェストがありますがそれも見なくてよいくらいです(…

天国と地獄:映画の中に残る風景

評価:3(5点満点) 総評: 1963年公開の言わずと知れた黒澤明作品。当たり前ですが役者がみな若いですね。三船敏郎は黒澤映画でのイメージが強すぎるのでそれほどは感じませんが、現在も現役の仲代達也は露出も多いので本当に若い。犯人役の山崎努も、現在で…

第7の封印:キリスト教世界では普遍的?

評価:3(5点満点) 総評: イングマール・ベルイマン監督の1956年公開作品。 十字軍の遠征から10年振りに帰国した騎士アントニウス。従者とハンスと共に故郷へ赴く途上死神に出会う。自らの死を告げる死神に対し、アントニウスはチェスの勝負を申し込む。勝負…

スローターハウス5:視点と時系列の複雑な交錯

評価:2.5(5点満点) 総評 『スローターハウス5』は複雑な映画と言えるでしょう。映画内では主人公ビリー・ピルグリムの過去の体験が時系列を無視して描かれることになります。第2次世界大戦におけるドイツでの新兵時代、戦争後~結婚直後までの時代、中年期…

ボビー・フィッシャーを探して:GIFTと成長の物語。父と子、グルとメンター

評価:3(5点満点) 総評 1993年公開のアメリカ映画。実在するチェスの天才少年についての物語。才能の発芽と成長、ライバルの登場、苦悩と挫折、そして勝利を描くという意味ではギフテッドを描く映画としては非常にオーソドックスな脚本です。本作中の時系列…

M☆A☆S☆H :現在の視点で見ると少々厳しい...

評価:2(5点満点中) 総評 映画に限らず一般に娯楽や芸術というものにはどうしても「同時代性」の呪縛があるように思います。つまりその作品が発表された時代の文化、風俗、思想諸々が反映されているため、それが善かれ悪しかれ後年の体験に影響を及ぼすとい…

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち:歴史的裁判の側面を描く(”側面から”ではない)

評価:3(5点満点中) 総評 2015年制作のイギリス映画。ケーブルテレビで視聴。 1961年にイスラエルで行われた、所謂アイヒマン裁判をTV中継した人々を描いた作品です。 アイヒマン事件そのものではなく、この歴史的裁判のTV中継に挑んだ製作者たちの姿を描く…

ミツバチのささやき:どこか陰鬱だが美しいスペインの風景

評価:3(5点満点) 総評 1973年公開のスペイン映画。 この映画はスペイン・カスティーリヤ地方のある村が舞台となっていますが、とにかくその情景が素晴らしいですね。いわゆる観光地的な美しさではなく、むしろ荒涼としたともいえる風景なのですが、いまだ電…

ゾンビ:BGMが光るタリオ・アルジェント版

評価:3(5点満点) 総評 1978年公開。ジョージ・A・ロメロ監督の出世作。ケーブルTVの映画チャンネルでたまたま放映していたので視聴。 同監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』がゾンビ映画の原点ならば、こちらはゾンビ映画の定石を作った映画というと…

ブレードランナー2049:良くも悪くも正当なる続編

評価:3.5(5点満点) 総評 1982年公開、SF映画の金字塔『ブレードランナー』35年ぶりの続編。 多少SFに造詣のある方ならご存知だと思いますが、過去にも続編の噂が出ては消えること幾星霜、ついに公開を迎えた話題の作品です。 あまりの長い時間噂ばかりが先行…