書評

オスマン VS ヨーロッパ:コンパクトなトルコ民族史

『オスマン VS ヨーロッパ ~<トルコの脅威>とは何だったのか?』 新井政美 著 講談社 地元の図書館で時間を潰していた際に目に入った本。オスマン・トルコ帝国という国は、高校で学ぶ世界史ではヨーロッパ諸国の目線で脅威としての側面を描かれがちである…

数字の国のミステリー:相変わらずの読みやすさ

『数字の国のミステリー』 マーカス・デュ・ソートイ著 新潮社 イギリスの数学者である著者の3冊目となる、一般向けの数学解説書。解説書、などと書くと敷居が高そうに思えるが、エッセー的な筆致で描かれた本作は普段数学に馴染みがない人々にもさほど抵抗…

ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡:混迷の中東、その道程とは

『ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡』を読了。著者のジョビー・ウォリックは本書で2016年のピュリツァー賞を受賞しています。 2018年現在ではその勢力範囲の大部分を失った「ISIL」ですが、一時はシリア・イラクにまたがる広大な領域を占有し…

ドイツ参謀本部:遷移する戦争の中で生まれた”参謀”という役割

評価:4(5点満点) 書名:ドイツ参謀本部 著者:渡部昇一 出版社:中央公論社 総評 参謀 - Wikipedia 「参謀」という言葉は現代では用語が広がり、企業経営やスポーツなどでも使用されるがもともとは軍隊における役割を示す用語である。本書はその「参謀」と…

食は広州に在り:思わず腹の虫が鳴る食エッセイ

書名:職は広州に在り 著者:邸永漢 発行:中央公論社 事業家であり作家でありコンサルタントでもあるという多才の人、邸永漢1975年のエッセイ。 氏の食をテーマにしたエッセイはどれも読みやすく面白いものが多く、本作がその代表と言えるだろう。扱う食の…

ロスチャイルド 富と権力の物語:良質な年代記にしてヨーロッパ近現代史

評価:4(5点満点) 書名:ロスチャイルド -富と権力の物語ー(上)(下)著者:デリク・ウィルソン出版社:新潮社 総評 ロスチャイルド家と言えば、ネットではユダヤの陰謀などと取りざたされることが多いが、本書は欧州有数の財閥であるロスチャイルドの歴史を膨…