ナショナルジオグラフィックTV『エクスプローラー』(11月24日放送)

ナショナルジオグラフィックTVで今月から放送を開始した『エクスプローラー』を見ています。この放送が第2回。番宣を見たところ、この先日本の特集が放送されそうなので、今のうちから見ておこうと思いました。

番組の構成は前半30分がメインコンテンツとなるドキュメンタリー風のレポート、後半のうち15分程度で識者へのインタビュー、最後にちょっとした映像コラム、といった構成ですね。番組の雰囲気は軽いですが、内容はいたって真面目です。

ノーベル経済学賞受賞者が語る政治と経済 」

アメリカ政府が所有する極秘のテロ監視リスト。国の安全保障のために人々の自由を奪う権利はあるのか。被害者や元FBI捜査官などに取材し、秘密に覆われたリストの問題を探る。続いてノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマンをスタジオに迎え、ポピュリズムの台頭や貧富の格差など、政治と経済を掘り下げる。最後にアウトソーシングの世界を覗き、日常生活のあらゆる場面で外注を利用して充実した人生を送る方法を紹介する。

 

 今回の特集ではアメリカのテロ対策で作成・使用されるテロ監視リストについて。トピックとしては目新しい話ではないが、現在100万人近い規模に及んでいるとは驚き。結局数が多すぎてリストに載る人物すべてを監視できないばかりか、冤罪やリスト外の人物によるテロの発生を防げないなど批判も多いようだ。

国境対策の運用では、国境地帯においては国民の権利がかなりの制限を受け、尋問に対して弁護士を呼ぶことも出来ないというのはまだ理解できるのだが、「国境地帯」の定義が国境から160キロ以内を含むということで、アメリカの東部西部の大都市はほとんど含まれるというのは驚き。アメリカでは国民の3人に2人が該当するらしいです。

基本的に監視リストに対して批判的な問題提起を行うレポートではあるが、一方で国務省の元高官に「人権と安全保障の矛盾は解決不能」コメントさせるあたり、反対意見にも一定の配慮はしているようです。

後半のインタビューは経済学者のクルーグマン。15分程度の短いものなので特に特筆すべき内容ではありませんでしたが、本人がSFファンで、アシモフの「ファウンデーション(銀河帝国の興亡)」シリーズのファンであるということは初めて知りました。私もファンなのでむしろその話を聞いてみたかったところです。

最期のコラムは記者が日常すべてをOutsourceする、とかいう企画ではっきり言ってつまらない。日常すべてをと言いながら肝心の自分の仕事はOutsourceできないのね、という印象しか受けなかった。

まだ放送は2回ですが、基本的にはリベラル的なスタンスの番組という印象を受けました(まあナショジオですし)。とりあえず日本の特集が放送されるまでは継続視聴予定。