BS世界のドキュメンタリー『ヒトラー暗殺計画』

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第2次世界大戦当時、アドルフ・ヒトラーに対して計画されていた30余りの暗殺計画のうち、有名な数件についてその顛末を追ったドキュメンタリーです。

番組では当時暗殺を目論んだ人物をそのまま登場させて、暗殺に至る背景や経緯を証言させるというドラマ仕立ての演出となっています。そのため所謂普通のドキュメンタリー番組とドラマとの境界線があいまいで、暗殺計画の再現ドラマ部分と、当時の世界情勢、世相についてのドキュメンタリー部分が交互に挿入される構成となっています。見やすさ、とっつきやすさを求めるという点では理解できるのですが、当時の人物が現代の視聴者に対して証言する、というこの演出は正直なところ却ってリアリティが薄れ、興ざめするという印象を受けます。

番組で取り上げられている暗殺計画についてはどれも有名なもので、特に目新しい内容が含まれているわけではないですね。中でも最後に取り上げられている「ワルキューレ計画」はトム・クルーズが主演した映画「ワルキューレ」で取り上げられているので最も有名だと思います。「ワルキューレ」はトム・クルーズ主演の映画にしては内容が地味ですが、脇を固める俳優が意外に豪華で見ごたえがありました。

番組ではしきりに「この時ヒトラー暗殺が成功していたら?」という投げかけをするのですが、要はその場合あれほどの惨禍は起きなかったのでは?と暗に言っていると思います。歴史にIfはありませんので正直それは無意味な問いなのですが、思考実験としては興味があります。番組ではその問いかけ以上に踏み込むことはないのですが、当時の世論や情勢を踏まえて歴史のIFを語るほうがより面白い内容になったのではないかな、とも感じました。