これは人気も出ますよね。分かってはいても

ロシアのプーチン大統領が年末恒例の大規模記者会見を開きました。

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この記者会見はプーチン政権年末の風物詩で、国内外のメディアを相手にプーチン大統領が長時間(3~4時間!)にわたり質問に答える会見です。時間が長いだけでなく参加するメディアの数も多く、プーチン大統領によるちょっとしたショーのような雰囲気があります。

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ロシアほどの大国、しかも全体主義的な傾向を指摘される元首が外国メディアも含めてこれほどの規模で単独会見を行う(しかも毎年恒例)というのも異例でしょう。質問に対応するプーチン大統領の様子も多分に自らのショーアップを意識しているところを見ると、情報開示よりも政権のアピールや強い指導者としての演出が目的なのだろうと思いますが、それでもこれだけのメディアを向こうに回す姿を見せる効果は大きいですね。

第1にロシアが非民主的な国であるとの批判を退けること。ロシアの政治に色々と批判はあるにしても、この会見の様子が各国に与えるインパクトは強いでしょう。要は「あなたの国のトップはこんなことができますか?」ということです。実際日本も含めた主要国のメディアは毎年この会見を報道しています。それを見た各国の普通の人々が「自分の国のトップと比べて...」という気持ちになれば大成功でしょう。

第2に先述したように強い指導者をイメージづけること。内外含めてこれだけの数を向こうに回して立ち回るプーチンの姿はそれだけで国民に対して強いイメージを与えるでしょう。メディアに対して積極的な姿勢をアピールすると同時に、メディアを利用して自己演出を図る。メディア側もそうと分かっていてもこれだけ注目度の高いイベントなので出席せざるを得ない。すべて大統領側に都合がよい仕組みになっています。

記者達から繰り出される質問に対して、時にユーモアを交え、時に皮肉交じりに、時に高圧的に回答するプーチン大統領。いやあ、この姿を見ればその人気も理解できるというものです。全ての質問とその回答がアドリブであると思うほどにはナイーブになれませんが、仮に台本があったとしてもこの会見を毎年こなすバイタリティと度胸は大したものです。

ロシアに関する西側の報道で不足している点が、プーチン大統領への支持率の高さで、どれほど独裁的と批判されても国民からはまだまだ高い支持を得ているのですね。同時にプーチン自身も国民からの支持を重視しているからこのようなショーアップには余念がないのでしょう。そう考えると西側メディアが指摘するほどロシアが非民主的なのか、と言うことには少し疑問がわきます。仮にロシアで西側が望むような「民主的な」選挙が行われたとしても、結局当選するのはプーチンである気がしてなりません。その姿は「独裁者」ではなく「ポピュリスト」と言うほうが正鵠を射ている気がします。