ヨーロッパのポピュリズム

今年の政治関連のキーワードは「ポピュリズム」だと思いますが、日本ではどうにもトランプ大統領の言動ばかり取り上げられがちです。実のところそれを批判する立場であるEU側のお膝元もずいぶんきな臭くなってきました。

EUの中でも特に、オーストリアポーランドの状況がちょっと心配ですね。

www.sankei.com

www.newsweekjapan.jp

NHKをはじめ地上波のニュースではあまり取り上げられないのですが、BSのワールドニュースを見ているとBBC(イギリス)やF2(フランス)では懸念をもって取り上げられているようです。今年3月のオランダ下院選では極右政党と指摘される自由党が政権を取るのでは、と懸念され、日本でもその結果がそれなりに報道されました(結果、自由党議席を伸ばすも政権には届かず)が、その後も続くEUのポピュリズムへの潮流についてフォローしている局はほとんど無いように思えます。ドイツにおいてメルケル政権のレームダック化の兆候と、右派政党が躍進しつつある状況において、上記両国の右傾化がすすむ状況は実のところ懸念が大きいでしょう。第2次世界大戦において、ナチスに併合されたオーストリアと侵略されたポーランドの両国は、EUの枠内でも政治的にドイツを牽制する役割を担う立場にあるはずですが、むしろ右派の連帯がそこに生まれつつあるとすれば、ヨーロッパの政治状況が一気に流動化する懸念もあります。

ポピュリズムが台頭する現在、そのターゲットとなるEUと言う組織と理念はまさしく正念場を迎えつつあります。この先数年が、この国家的実験ともいえる取り組みが主権国家の枠組みを超える成果を挙げるか、雲散霧消し混迷の悪夢となるかの分岐点となるような気がしてなりません。