『地球防衛軍4.1』設計が秀逸。設計書を見てみたい

f:id:Martin-A:20180928092301j:plain

地球防衛軍4.1

しばらくさぼっていたので久々の更新。

例によってSteamのサマーセールでいくつかゲームを購入しましたが、本作もその一つです。

2015年発売なので3年前(オリジナルの『地球防衛軍4』であれば5年前)の作品ですが、これはハマりましたね。夏頃に始めたのですが、現在プレイ時間は300時間に届きそうです。

巨大生物、怪獣、ロボットなど異星人の侵略を、地球防衛軍(以下EDF)の一員として撃退する、と言うコンセプトであり、所謂ワンダバ的世界観のゲームです。長年にわたり特撮やアニメで使い古されたテンプレートですが、ともすれば古臭く見られがちな題材を、秀逸な作品に仕上げています。地球へ侵略する異星人が敵でありながら、スーパーヒーローが現れず、主人公をEDFの一員としたコンセプトが素晴らしく、ともすればゲーム上の制約となりがちなヒーローの存在と言う呪縛から解放され、他にはない個性的な作品となったと言えます。

f:id:Martin-A:20180928094640j:plain

コンセプトが秀逸な本作ですが、同時に設計面から見てもすぐれた作品であると言えます。プレイ方式はミッション形式で、合計90近いミッションを次々にこなしてゆき、最終ミッションを完了すればゲームクリアです。90ミッションと言う数は本作のようなTPSタイプのゲームではかなり多いほうだと思いますが、各ミッションの構成要素を見ると、基本的に

 

①敵のタイプ・グレード

タイプ(蟻型/蜘蛛型/蜂型/ドローン型/ロボット型/その他ボス系)

グレード(白→赤→紫→金→クイーン)※例:蟻型

②マップタイプ

高層ビル街/河川敷/住宅街/地下/谷/山岳等役10種類程度?

③ミッション完了条件

大多数のミッションは敵の殲滅でクリア。初期配置型と順次発生型の2タイプがあり、前者は初期配置された敵が全滅すると次の敵が配置され、すべてのWAVEを撃退してクリア。後者は放置すると無限に敵が発生する巣や輸送船を破壊し、マップ上のすべての敵を撃退してクリア。

また、いくつかのミッションでは「最終WAVEまで進み、一定時間生存する」など特殊な条件がある。

 

の3要素で構成されています。

設計として何が優れているかと言うと、先にこれら3要素についての仕様を決めてしまえば、各ミッションはその組み合わせで作成できるという分かりやすさです。極端な話、全ミッション数を決めたならば、あとは各ミッションについて上記3要素についての組み合わせを指定すれば開発に進めるであろうというレベルです。各ミッションの開発順序を決める必要もないですし、大半のミッションは並列で開発できるでしょうから、管理者、設計者、開発者いずれの点からみても特筆すべき分かりやすさと言えます。

また、この設計・開発構成の優れた点は、開発が進んだ後の調整の容易さもあります。開発後のテストプレイで判明した課題について、ゲームバランスの調整で対応する際にも、基本的にはミッション別に上記3要素についての調整を行えばよいので、作品全体に影響するような調整を行うリスクを避けることが出来ます。

f:id:Martin-A:20180928102310j:plain

このように作り手視点で見た場合に優れた作品ですが、プレイヤー視点ではどうなのでしょうか?上記の3要素は設計視点では優れていますが、一方で似たような敵、似たようなステージ、似たような完了条件、という陳腐化のリスクを有しており、90ミッションと言う数を考慮するとプレイヤーの「飽き」を招きかねません。

本作では「兵科」「兵装」のシステムでその点を超克しています。

f:id:Martin-A:20180928102742j:plain

プレイヤーはキャラクターとして「兵科(レンジャー/ウイングダイバー/エアレイダー/フェンサー)」から4つのうち1つを選択し、「兵装」として装備する武器を選択し、各ミッションに臨みます。4つの兵科にはそれぞれ特徴や長所短所があり、兵装には短・中・長距離、個別/範囲攻撃などの特性があり、その組み合わせは多岐にわたります。

内容に応じて、兵科ごとに適した兵装を選択しなければクリアすらままならないミッションもありますし、同じミッションでも兵科が異なればプレイ感は大きく異なり、このあたりが構成面での陳腐化リスクを取り除くことに貢献していると感じます。兵装は各ミッション、難易度により出現する内容も変わり、高難易度で先のミッションであるほどレベルの高いアイテムが出現し、ハクスラ的な楽しみもあります。(でも武器稼ぎのミッション周回は辛かった...)

また、構成要素②のマップについても、他の面で登場した高層ビル群が、別の面で破壊されつくして廃墟の平原となっているなど、同一マップを使用しながら別マップと同等とも言える内容を提供するなどの工夫もあり、私個人は飽きることなく最終ミッションまで楽しむことが出来ました。

f:id:Martin-A:20180928103829j:plain

更にゲーム仕様だけでなく、演出面も楽しめる作品です。(人を選ぶとは思いますが、、、)

無能感あふれるEDF司令部、死亡フラグを立てまくるレンジャー隊員(「この戦いが終わったら結婚するんだ、とかいうのは縁起が悪いらしい...」とかメタなコメントまで発する)、外面に反して妙に可愛らしいウイングダイバー(掛け声で「おーっ」ってのが可愛い)、囮のくせにに自身満々なフェンサー等々ネタ感にあふれていて、このあたりのセンスは最高ですね。(ですが最終ミッションは熱い。激熱です。EDFEDF!)

全兵科でNormalを全ミッションクリアし、Hardもレンジャーで全クリ、他兵科も70%クリア、と言うところで現在は他のゲームの傍ら1日1ミッション程度プレイしています。サマーセールでのお値段は二千円足らずでしたので、ボリューム内容ともに満足のいく作品です。(以下ちょっとネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:Martin-A:20180928105955j:plain

クリア後の最終画面。ここまでの盛り上がりがすごいんだ。センスよりロマンに全振りした快作。早く5をSteamで出してくれ!