『S.T.A.L.K.E.R. Clear Sky』外伝的な色合いの濃い前日譚

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S.T.A.L.K.E.R. Clear Sky』を難易度ノーマルでクリア。所要時間は20時間ほど。前作は難易度イージーで40時間近くプレイしていたので、ボリュームは随分と減ったことになる。前作はFPSそのものが未体験に近く、操作感を得るのに時間がかかったことや、今作ではサブクエストをあまりこなさなかったことなどの違いはあれど、それでも前作の3分の2程度のボリュームではないだろうか?

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本作は、時間軸で言えば前作の続きではなく、その1年前に該当する。主人公の傭兵”Scar”は任務の途中で”Emission"と呼ばれる現象に巻き込まれ、”Clear Sky"を名乗る集団に救出される。ZONEの謎を解明することを目的とするClear Skyの依頼を受け、ScarはZONEの中心に到達したと言われる、ある伝説的なStalkerを追うことになる...。

前作もそうだったが、個人的に本シリーズにそれほどシナリオの面で期待はしていないので、今作についてもシナリオ面で語ることはあまりない。ゲームをプレイするうえでの添え物程度の扱いなのは前作と同様だ。

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ゲームシステムはほぼ前作を踏襲しているが、いくつか新しい要素も追加されている。武器のカスタムが可能となったこと、アーティファクトが探知機でしか探せない(前作ではそこら辺に転がっていた)こと、”派閥”の要素が導入されたこと、などだ。いずれもプレイ感を大きく変えるほどの変更ではないものの、未カスタムの武器は精度が悪すぎて使い勝手が悪かったり、アーティファクトによる資金稼ぎが難しくなるなど、プレイ難易度を上げる改変が多いように思えた。特に資金不足は深刻で、今作はクリアまで終始ルーブルの不足に悩まされた。おかげでアーマーは結局最初のエリアの報酬で得た貧弱なものを最後まで使う羽目になったし、武器のカスタムも中途半端に終わる結果となった。前作は前作で、終盤に使いどころのないルーブルが余る状態だったので、その反省といった所だろうか。また、”派閥”の要素は本作の売りの一つではあるのだが、メインシナリオとのかかわりは薄く、オープンワールドの体裁を整える一要素以上の意味は無かった。この辺りは同様のアイデアを導入しながら、メインシナリオとの絡みも盛り込んだ『Fallout:New Vegas』に軍配が上がるだろう。

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マップについては全体の7割以上が前作からの使いまわしとなっている。前作における各勢力の拠点が今作では異なる派閥の勢力下にあるなどの面白みはあるが、新鮮味に欠けるのもまた事実だ。

戦闘については相変わらずの難易度で、ノーマルでもゲームオーバーを繰り返す。特に最終エリアの鬼畜仕様は今作にも引き継がれており、またしても細かいセーブを繰り返すプレイを強いられることになった。とはいえ作品全体では体感的な難易度は前作より低く感じた。これは前作とは異なり本作は研究所などのダンジョン、閉鎖空間での戦闘がほとんどなく、主に開けたスペースでの戦闘が主体であることに依るのかもしれない。そのせいか、どうにも戦闘が単調になりがちで、中盤にかけてだれ気味になる傾向があった。前作の使いまわしでも良いのでダンジョンの一つか二つでもあればまた印象変わっただろう。また、前作ではそれほど感じなかったのだが敵キャラのリスポーン仕様が非常に雑だ。明らかにクリアリングした場所や、プレイヤーが戻ることが出来ない場所から突如として敵が湧き出るのには苦労させられた。エリア内の敵を一掃した後に、あり得ない場所から敵が湧き出ることが多く、それが無意味に終盤の難易度を上げている。この辺りの出来は正直不満でもあり残念でもあった。

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クリア後の感想としては、続編と言うよりは外伝と捉えたほうが正解だろう。前作から1年強でリリースされたことを考えれば、それなりに評価できる内容ではある。前作をプレイして気に入ったのであれば本作もプレイして損はないだろう。とはいえフルプライスの価値はないので、セールの際に購入すれば十分だ。

本シリーズも『S.T.A.L.K.E.R Call of Pripyat』を残すのみ。次のセールで購入予定だが、発表されている新作のリリースまでにはクリアしたいものだ。

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