『Zombie Army Trilogy』 やっぱりシナリオって大事

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『Zombie Army Trilogy』をクリア...と言うには語弊がある。『Zombie Army』シリーズは人気シリーズ『Sniper Elite』内のゲームモードがスピンオフしたものであり、本作はその1,2作目に追加のエピソードと新たなモードを加えた3作パック構成となっている。

今回クリアしたのは第1作にあたるエピソード1の5ステージ。所要時間は5時間。なぜ3分の1の時点で感想を書いているかと言えば、これ以上本作をプレイする気がなくなったから。理由は簡単。「飽きた」からである。

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シューター・ゲームとしての本作は正直悪くない内容であると思う。ゾンビゲームは世に数あれど、基本的に「ライフルでヘッドショットを狙って倒す」というスタイルは、アサルトライフルやLMGで無双になりがちなゾンビ系シューターの中でも独自のものだ。実際プレイしても、こちらに迫りくる大量のゾンビをひたすらスコープ越しに狙撃していくのはなかなかにハマる。次々にヘッショのコンボをキメていく快感はなかなかのものだ。また、基本狙撃が攻撃スタイルとなる本作では、スコープを除いて遠距離の敵をエイムしていると、近くに沸いたゾンビに気づかず、思わぬ方向から攻撃を受けるため、その点を考慮した立ち回りが求められる。ただ1点に陣取りスナイプしていればよいゲームではない。ゲームスタートからしばらくは本当に楽しめたと思う。

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しかし、である。本作は「それだけ」なのだ。本当にひたすら「ゾンビをヘッショする」だけのゲームなのだ。とにかくひたすらゾンビを退けつつマップを進み、次のチェックポイントを目指す。辿り着けばまた次のチェックポイントが示されるので、またゾンビを倒す...。本当に「それだけ」。

ゾンビを登場させるための舞台装置的な設定はあるが、シナリオと言うべき内容は全くない。主人公以外のNPCも存在しないので、ドラマが膨らむ訳もなく、とにかくゾンビを撃つ以外にやることが無い。さすがに2ステージ目をクリアした時点で飽きてしまった。

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カットシーンはあるが全くドラマ性はない。歌舞伎の見栄みたいなものだ。

これまでにシングル用FPSはそれなりにプレイしてきたが、自分はどちらかと言えばプレイ指向のタイプであり、あまりシナリオを重視してはいなかった。『METRO』『Wolfenstein』『S.T.A.L.K.E.R』など、どれも好きなシリーズだが、あくまでプレイ内容優先で、シナリオはプレイの添え物程度にしか考えていなかった。

しかし本作をプレイして少しその認識が改まった。ストーリーやシナリオが存在しないプレイと言うのがこれほどまで飽きの早いものだとは思いもしなかった。曲がりなりにも作品を通したシナリオと、それを盛り上げるドラマがあれば、それがどんな陳腐な内容であれ、最後まで作品をプレイし続けるモチベーションになるのだと実感した。本作にはその要素が全く存在しない。だから飽きるのも早い。

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せめてプレイ内容にもう少しやりこみ的な要素があれば、とも思う。本作にはPerkもなく、武器も開始時点で全て解放されているので、ステージが進んでもプレイ感覚に新味を感じることが無い。これも飽きの早い一因と言える。よほどのシューター・フリークでもない限り本作にのめりこむことはちょっと厳しいだろう。

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暇な時間があるときにちょっとシューターを楽しむ分には悪くない作品なので、積みゲーがほぼ消化されたらまたプレイするかもしれない。