2019北海道ツーリング ②観光編

北海道ツーリング感想その2は観光編。天候不良や体力不足で必ずしも予定通りにはゆかなかったが、それでも主だった場所は廻ることが出来た。今回のツーリングで訪れた観光地を簡単に紹介していく。

襟裳岬:最初はここ。行ったことに意味がある!

森進一の唄でお馴染み襟裳岬。天気はあいにくの曇り空。平日ということもあり人ではそれほどでもなし。まあ”ここに来たことに意味がある”場所なので、それほどの見どころがあるわけでは無い普通の岬。

襟裳岬』歌詞の碑。この曲結構好きなのでこの石碑は見たかった。

釧路湿原:ある意味湿原らしい天候

釧路湿原は曇りで濃霧、時々小雨。それでもさすがの人気で多くの観光客がカヌーやトレッキングを楽しんでいた。

釧路湿原では観光列車のノロッコ号に乗る。釧路~塘路間50分の行程で、車窓から釧路湿原を観光できる。ガイドさんの解説付きだが、この人がマサイ族張りの眼力で鹿やらタンチョウやらを見つけては知らせてくれるのだが、そちらの方向を見ても全く見つけられない。一体どういう視力をしているのだか。

車窓からでも十分に湿原を堪能できるが、やはり当初の予定通り湿原をぐるりと周回してみたかったところだ。

開陽台:霧に煙るライダーの聖地

開陽台。北海道をツーリングするライダーなら必ず訪れたい場所。九州で言えば阿蘇大観峰といった所....なのだが濃霧に包まれほとんど視界が効かない。 

晴れならば最高のロケーションだろうが、霧の為何も見えないのが残念。開陽台までのミルクロードも本来非常に気持ち良い直線道路なのだが、あいにく左右の視界が悪くて堪能できなかった。やはり晴天の時に訪れるべき場所だろう。

開陽台にはキャンプ場が併設されているが、この霧の中でも何組かのキャンパーがいた。これはこれで雰囲気のあるキャンプかもしれない。

野付半島:この世の果ての風景

トドワラ、ナラワラと呼ばれるマツが水枯れした風景が見どころの野付半島。晴天ながらも時々雲のかかる天気。

ネイチャーセンターへ向かう道の途中で”ナラワラ”に遭遇。野付半島それ自体がほとんど観光地化されておらず、周囲も道路以外に何もない寂しい風景。時折雲が太陽を隠す天候の演出もあり、寒々しい風景がさらに引き立つ。”この世の果て”と称されるに相応しい奇景と言うべきだ。

ネイチャーセンター到着後、遊歩道を歩いて”トドワラ”へ向かう。遊歩道とは名ばかりの獣道で、進むほどに道を隠すほどの草が生い茂る。悪天候時はお勧めしない。

1キロ半ほど遊歩道を進むと”トドワラ”の看板に到着。この先は木製の歩道を辿り”トドワラ”へ向かう。

苦労して辿り着いた”トドワラ”だが、木の本数が少なく”ナラワラ”と比べると若干のガッカリ感。近年その数は少しずつ減っているらしい。

野付半島は今回のツーリングで一番見たかった場所であるため、良い天候に恵まれて大満足だった。早朝7時に訪れたためか、ほとんど観光客もおらず、その荒涼とした風景を存分に堪能できた。この観光地化されていない風景は他ではちょっと見られない光景。好き嫌いはあると思うが、訪れて損はない場所だ。

知床半島世界遺産の貫禄

知床半島は流石の世界遺産。半島を1周する間、延々と素晴らしい景色を堪能することが出来る。麓は多少の霧が残っていたが、高度が上がるにつれ晴天となり最高のライディングとなった。

雲は多いが羅臼岳も綺麗に見ることが出来た。知床峠は峠道としては傾斜、ワインディング共に緩やかなので、車格に対してパワー不足で荷物満載、おまけにキャブ車と対峠道3重苦を抱えた愛車のシャドウ400でも快適な走りを楽しむことが出来た。

知床峠から麓を見る。海が霧に覆われて雲海のように見える。空が上下の雲に挟まれたような不思議な光景。

知床自然センター。地味な名前に反してNorthfaceのショップやカフェが併設されている洒落た施設だった。トレッキングや半島クルーズの拠点。

摩周湖:写真映えは一番

摩周湖と言えば霧。霧の摩周湖。しかしこの日は快晴で霧の気配は全くなし。

ガイドさんによるとここまでの晴れはなかなか無いらしい。とにかく透明度が高く、鏡のような湖面が素晴らしく綺麗。写真は第1展望台からの眺め。バイクの駐車台¥200が少々興ざめだが、この風景を見るコストと考えれば悪くない。

神の子池:辿り着くまでが一苦労

裏摩周近くの神の子池。辿り着くには舗装路から1.5キロほどの未舗装路を進む必要がある。未舗装路と言っても実質ダート。小石と言うには大きめの石も多く、傾斜のあるカーブなど中々の難路。ダートに不向きなシャドウでは何度もハンドルを取られて転倒しそうになる。後続車に申し訳なくも、ひたすらローギアで進みつつ駐車場へ到着。

しかしその甲斐はある眺めだ。透明度の高いブルーの湖に沈む倒木の姿も良く見える。快晴の神の子池を見ることが出来たのは本当に運が良かった。周囲はそれほど観光地化されていないが、近年は知名度も上がっているためか、平日にも関わらず多くの観光客が訪れていた。

後日訪れた”青い池”と違って、このブルーは不純物なし。実際に目にすると信じられないほど綺麗なブルー。

博物館 網走監獄:公園と監獄の奇妙な融合

博物館 網走監獄は、当時の網走監獄の施設群を移設して作られた博物館。当時の監獄をそのまま公開しているわけでは無い。

敷地内は非常によく整備された公園のようで、散策するにも心地よい場所。その広い敷地の所々に当時の網走監獄に関連する施設が展示されている。

施設の中に入ると微妙にリアル度の高い囚人のマネキン。このコントラストがなんとも言えない。特にこの日は散策にはうってつけの晴天で、展示内容の説明にあるような網走の寒冷で厳しい気候は全く想像できない陽気の中で、辛苦に耐える囚人(のマネキン)の様子がギャップとなり奇妙な味わいが感じられる。

館内には”二ポポ人形”も展示。自分の世代にはFCゲーム『オホーツクに消ゆ』でお馴染み。

実のところ、時間を潰しに立ち寄ったのだが中々に面白く、2時間近く長居してしまった。こちらも平日ながらなかなかの人出だった。

宗谷岬:日本最北端。ここは外せない

日本最北端の岬、宗谷岬。北海道をツーリングするのであれば、此処を訪れないと言うのはあり得ないだろう。今回のツーリング最大の目的と言って良い。

天気は正に日本晴れ。早朝に訪れたので観光客もまばら。最高のシチュエーションでこの地を訪れることが出来た。目の前に広がる水平線を眺めつつこれまでの旅程に思いをはせる。この旅最高の瞬間を迎えることが出来た。

7時を過ぎると早速観光客が訪れはじめ、最北端の碑に撮影の行列ができ始めていた。天気にも依るだろうが、やはり早朝に訪れるのが一番良い場所だろう。

宗谷丘陵:その広大さに圧倒される

宗谷岬からノシャップ岬(あるいはその逆)に向かうならば宗谷丘陵を経由するべきだ。とにかく広大な丘陵と牧草地。その広さにただ圧倒される。

美瑛ほどの華やかさは無いが、青空に丘陵の緑が映え、のんびりとバイクを走らせるのがとにかく気持ちいい。神の子池でダートにトラウマがあり、”白い道”は走らなかったが十分に堪能した。宗谷まで来て宗谷丘陵に行かないのは間違いなく損だ。

ノシャップ岬:イルカ

うん、なんというか普通の岬だよね...。やはり宗谷岬の後では訴えるものに欠けることは否めない。反時計回りなら行かなくてよいかも。

イルカのオブジェもある。

旭山動物園:さすがに普通の動物園とは一味違う

到着したのは閉演3時間前。だと言うのに駐車場は満車。バイクなので停められた。平日なのに凄い人の数。今回のツーリングを通じて一番の人の量だった。

印象的なのはその展示方法。来園者が”見る”ことが最優先されていない。動物が”生活する”ことが優先されていると感じられる。だから動物が陰に隠れて来園者から見えないこともしばしば。寧ろそれが動物を探す楽しみにつながっているとすら思える。とにかく一目見ただけで、自分がこれまで見たどの動物園とも違うことが分かる。展示されている動物は必ずしも珍しいものがいるわけでは無い。見せ方一つでこれだけの集客を実現するのも納得の内容。動物展示における最先端の方法論と施設の一方で、展示の案内や解説のPOPが手書きで実に素朴。このあたりのコントラストに、この動物園の本質があるのだろう。

美瑛:正に一大パノラマ。圧倒的な風景

自分の拙い文章と写真では、見た光景の何十分の一の魅力も伝えられない。本当にそう思わせる場所と言える。旭川から有料道路を使わずに下道から美瑛入りしたが、これが大正解。直前まで北海道では珍しい片道1車線の路肩の無い狭い道で、左右は林で微妙なアップダウンのある視界の悪い道を走り続けることになる。そんな道を走っていたところ、唐突に目の前が開けて、TVや観光雑誌でお馴染みの美瑛の田園風景が視界に飛び込んできた。これには本当に圧倒された。

”セブンスターの木”や”ケンとメリーの木”にも行ったが、やはり美瑛の見どころは美瑛の風景そのものだ。これに比べれば木の一本や二本とるに足らない。写真では全くその魅力の何分の一も伝わらないだろう。”天に登る道”を走った際に眺めた斜里町の田園風景も素晴らしかったが、防風林で格子状に区切られた斜里町と、360度に開けた美瑛の田園風景はまた違う味わいがある。斜里町と美瑛、異なる個性を持つ両町の景色を晴天の下で走り抜ける気持ちよさは、もう言葉にすることが出来ないほどのものだった。

青い池:約束されたインスタ映えNo.1.加速する観光地化

周囲を森に囲まれ、一目瞭然なコバルト・ブルーの池に立ち枯れたカラマツが屹立するその光景。森の緑に池の青、松の白。それに好天時の空の青が加われば、目の前に展開される色のコントラストに目を引かれること請け合いだ。

神の子池とは異なり、池の水に含まれる鉱物の影響で生み出されるその色は正にコバルト・ブルー。その青の鮮やかさもあり、マツの立ち枯れたその光景も野付半島のような荒涼とした雰囲気は感じられない。個人的には野付の寒々とした雰囲気が好みだが、こちらも見応えの点では劣らない。何とか晴天のうちに訪れることが出来て本当に運が良かった。

やはり北海道屈指の人気スポット。平日でも駐車場は満車、遊歩道は行列状態だった。

たしか2年程前まで、池の周囲は粗末な柵で囲まれているだけ。駐車場や池への道も未舗装だったはずだが、現在は道も駐車場も綺麗に細され、柵は立派になり、周辺に綺麗なトイレと小さいがセンスの良いコーヒースタンドまで作られていた。この賑わいを見るとこの周囲は今後もどんどん整備されて観光地化が加速するのは間違いなさそうだ。

苫小牧市科学センター:見どころはやっぱり”アレ”

北海道ツーリングの魅力は第1にその広大な自然にある。そのせいか、港町、工業地帯の印象が強い苫小牧はフェリーの発着場所程度の関心しか持たれないことが多い。だが今回のツーリングでは必ず苫小牧に寄ることに決めていた。何よりもこれが見たかったのだ。

旧ソ連の宇宙ステーション”ミール”の実物(予備機)だ。日本広しと言えども宇宙ステーションの実物を見ることが出来るのはここだけ。なんとしても見たかったのだ。霧と雨の中富良野からバイクを走らせた甲斐はあった。

内部も見学可能。

真横から、上から実物のミールを見放題。しかも無料。本来子供向けの施設なので、小さな子供を連れた親子連れが多かったが、そんなことは気にしない。心行くまでこの宇宙開発における東側の雄を堪能することが出来た。宇宙好き、メカ好きにはたまらないスポットだ。

手宮線跡:小樽の街中に残された廃線遺構

手宮線跡は、小樽市内に整備された廃線遺構だ。北海道は各地に廃線遺構が存在するが、旧手宮線跡の特徴は、小樽の街中を通る路線そのものが遺構として残されている点にある。

駅や機関車、客車が保存されているのではなく、路線そのものが遺構となっている。そのため小樽の市街地を横断する形で遺構を散策することが出来る。ここから運河通りや中央通りへアクセスすることも可能で以外に便が良い。何より小樽の街中を貫通する廃線の風景が非常に絵になるため、観光客の人気が高い。小樽の町を徒歩で散策するなら外せない場所だろう。

 

以上が今回のツーリングで訪れた主な観光地となる。どれも甲乙つけがたいが、やはり野付半島宗谷岬は別格。特に野付半島は20年、30年後には半島自体が海に消えると予想されており、今この時期に見ることが出来たのが素晴らしい思い出となった。

次に北海道をバイクで訪れることがあるかは分からないが、その時まであのナラワラの光景が残っているだろうか?