『S.T.A.L.K.E.R CALL OF PRIPYAT』 最早老舗の味わい
『S.T.A.L.K.E.R CALL OF PRIPYAT』をクリア。所要時間は17時間。
STALKERシリーズ3作目。前作CLEAR SKYは前日譚だったが、本作は初代SOCから後の話となっており、時間軸で言えば本作が続編にあたる。
驚くべき進歩の無さ。だがそれが良い
シリーズ3作をプレイして感じるのだが、驚くほどにそのプレイスタイルに変化がない。憚りなく言えば進化がない。2007年に初代がリリースされたのち、ほぼ1年ごとに続編をリリースするその間隔を考慮すれば当たり前かもしれないが、それにしても変わり映えしないのだ。
最新作である本作すら既に10年以上前の作品。当然現在のFPSと比べれば本シリーズのクオリティは比べるべくもない。UIはマウス&キーボード前提でパッド未対応。エイムアシストもない。全体マップは見づらい。ナビゲーションも貧相。物理演算しているとは思えない程弾の散らばりも雑。現在のFPSにおけるクオリティに比較すると、非常にアナログ的な感覚すら覚える。
にもかかわらず、それがなんとも言えないシリーズの魅力になっている。レトロゲーとしての面白さとは少し違う。本作の舞台となるZONEの荒廃且つ殺伐とした雰囲気にはこのアナログな操作感がなんともしっくりくるのだ。前作CLEAR SKYを始めた時にも感じた”ZONEに帰ってきたなあ...”という感覚は本作でも健在だ。
シリーズ中最も平穏な作品?
もっともSTALKERシリーズの作品として本作を見た場合、評価は前2作には劣ると言わざるを得ない。
第1にボリューム。3作中最も小さい。前日譚である2作目CLEAR SKYのボリュームにも及ばないと言うのはどうしたことだろうか?1作目のMAPを使いまわしたCLEAR SKYと異なり、本作ではほぼ新規MAPが舞台となっており、その点は評価できるのだが、その広さたるや1作目と比較して半分程度ではないだろうか?プレイ時間、マップ、いずれにおいても3作中最小。自分としてはもっとZONEでの探索を楽しみたい気分だった。
第2にドンパチ要素の少なさ。本作は前2作では一貫して敵陣営であったMilitaryに所属するデグレチャフ少佐が主人公となり、軍事作戦中に謎の墜落事故で行方知れずとなった部隊の調査を行うプロットとなっているのだが、捜索がベースとなるシナリオのせいか、小規模な戦闘が大半を占めている。第1作において、ZONEの謎を巡りMilitaryやMonorith等、いくつもの陣営を向こうに回し、敵部隊を単身相手にした戦場に比較するといかにもスケールダウンの感は否めない。終盤の最終エリア移動後は流石に多少戦闘の規模が大きくなるが、それでも第1作とは比較にならない。なんと言うかリリースの度に小さくまとまっていくようで不満が残る。なんというかZONEも随分とぬるくなってしまったな、と寂しさすら感じる始末だ。
果たして『S.T.A.L.K.E.R 2』はどうなるのか?
Stalkerと言えば、続編である『S.T.A.L.K.E.R2』のリリースが2021年に予定されている。シナリオ的には本作は完結編という扱いでもなく、ZONEの謎がなんら解決されているわけでもないので、次回作では如何様にも展開できるだろう。
少々気になるのは本作において、本シリーズの中心人物であり、1作目の主人公であるStrelokの扱いだ。ZONEにおける謎の中心に位置していると思われたStrelokだが、本作において実にあっさりと登場し、そしてあっさりとZONEの中心と言う舞台から降りてしまった。彼無しに第1作の正当な続編を作るのは難しいと思っていたのでこの展開は意外だった。こうなると『S.T.A.L.K.E.R2』はシナリオ的には完全な仕切り直しということもあり得そうだ。
ただ公開されているトレーラーを見るとStrelokらしい人物が移っているんだよねえ...。冒頭の白衣を着た富士額はおそらくStrelok。エンディングにおける描写とも一致する。となるともう一度彼がZONEに舞い戻るという展開もありうるのか。個人的にはそちらの展開が見てみたいところだ。
ちょっとした余談
本作の評価には全く関係ない話だが、ちょっと気になった点があった。本作のエンディングはプレイ内容によって細かく変化する。ミッションの達成度、仲間の生存数、その他諸々が影響してクリア後に語られる関係者のその後が細かく変わるものとなっている。
このエンディングの手法やスタイル、そのまんま『Fallout New Vegas』と同じなのだ。
ちなみにリリースは本作がNew Vegasの1年前。いや面白い偶然もあるものだ(ということにしておこう)。
以上でStalker3部作のプレイ完了。なんだかんだと文句を言いつつ最新作もプレイすることになりそうだ。