『REFUNCT』 クオリティとはこういうものだ

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『REFUNCT』をクリア。実績は半分ほどしか解除していないものの、クリアまでのプレイ時間はおよそ30分。¥98で購入した作品なのでボリューム的な面で不満は感じない。寧ろ質の面では圧倒的なコストパフォーマンスと言うべきだろう。

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本作は一人称視点のパズルアクションゲーム。水面に浮かぶ様々な高さに隆起したパネルが広がるステージがプレイヤーの前に広がっている。モノトーンのパネルを踏むと、パネルは芝生が生えるように緑色に変化する。特定のパネルに配置された赤色のボタンを押すと、新たなパネルが水面から浮上する。全てのボタンを押して、全てのパネルが隆起し、全てのパネルの色を緑に変えればゲームクリア。いたってシンプルな作品だ。

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しかしこの質の高さをなんと評価すべきか。

一面に広がる水面、隆起したモノトーンと草色のコントラストが美しいステージ。この水彩画のようなグラフィックにマッチした音楽など、視覚、聴覚面における丁寧な演出が実に心地よい。聞けば開発者のDominique Grieshofer氏がBGMも含めて一人で開発したそうなのだが、その多才振りには驚嘆の念を禁じ得ない。特にBGMについては正に出色の出来と言うべきで、単体で聴いてもヒーリング・ミュージックとして高く評価できるほどの品質だ。

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パズルアクションとしても難易度は高くなく、それでいて簡単すぎない絶妙なレベルデザインとなっている。序盤は移動とジャンプだけで問題なく進めることが出来るが、徐々に隆起するパネルの高さが上がり、壁蹴りなどのバルクール・アクションを駆使して攻略を進めていく必要がある。本作にはチュートリアルが存在しないので、そのあたりはプレイヤーがプレイしながら把握していく必要があるのだが、特に詰まることもなく進めることが出来た。このストレスなくプレイできるように設計された難易度についても高く評価するべきだろう。

敢えて不満点を一つ挙げるとすれば、FPS酔いした点くらいだろう。本作とにかく左右上下の移動が激しく、おまけに操作性が非常に良い作品であるため、かつてなくFPS酔いした作品だった。これはゲームのデザインと操作性の良さとのアンビバレンツというべき点であるし、そもそも極めて主観的な感覚に起因する点でもあるので、本作の客観的な質の高さと評価に影響するものではない。

今どきの缶ジュースより安く買える作品ながら一切の手抜きが無く、操作、演出、ビジュアルの全てにおける高い品質。STEAMのレビューでも”圧倒的に好評”。なるほどと頷かざるを得ない作品だった。

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