『Stalingrad』 ソビエトロシアでは戦争があなたに勝つ！ ※タイトルに意味はありません
『Stalingrad』をクリア。全36ミッションに加え、7つの隠しミッションのうち4つをクリアして所要時間は75時間。
2005年に発売された現代戦RTS。第2次世界大戦で最も悲惨な戦いとされるスターリングラード攻防戦をテーマとした作品だ。ソビエト赤軍、ドイツ軍のいづれかを選択して用意されたミッションをクリアしていく。
各ミッションではミッション目標が設定されており、それを達成することでミッションクリアとなる。基本的に用意された戦力を運用してミッションクリアを目指す内容で、戦略や兵站と言った要素は存在しない。局地戦における兵力の運用が主なプレイ内容であるため戦略(Strategy)ではなく戦術(Tactics)に主眼が置かれている。そういう意味ではRTSではなくRTTと呼ぶべき内容ではあるが、現代戦RTSは本作に限らずそういった傾向があるのでとりわけ本作の特色という訳ではないだろう。
15年も前の作品と言うこともあり、操作やUIは非常にシンプル。AoEやStrongholdと言ったクラッシックなRTSをプレイ済ならば初見でも戸惑うことはないだろう。ユニットの数や種類もそれほど多くは無いので運用に迷うこともない。基本的には歩兵を肉壁にして戦車で如何に敵を粉砕するか、という場面が多いため、状況毎にユニットを使い分けするほどの複雑さはない。とかくユニットや状況の種類が豊富で判断に迷う昨今の現代戦RTSと比較すれば非常にシンプルなので、初心者が手に取りやすい内容と言えるだろう。とはいえ単純な戦車ごり押しゲームではなく、空爆や迫撃砲と言った飛び道具や、偵察兵や航空機での索敵などの要素も重要で、現代戦RTSを楽しめる最低限の要素は十分に備えている。
難易度はノーマルとイージーのみでハードはなし。2つのミッションを除いてノーマルでプレイしたが、ノーマルの難易度は結構高い。どのミッションも初見でろくにセーブもせずにクリアできるような内容ではない。色々な攻め口を試しながら、最も有望なものを突破口に少しずつ前進、失敗すればまたやり直し。その繰り返しを楽しむのがRTSの妙味と言うべきだろう。
一方イージーでのプレイは非常に快適。敵が非常に柔らかいので戦車隊で無双できる。ノーマルで散々苦労したミッションも簡単にクリアしてしまえる。ノーマルモードでは中戦車3両で攻撃して返り討ちにされたL1ティーガー戦車をあっさり破壊して拍子抜けするほどだった。
やり応えのあるノーマルモードにカジュアルに楽しめるイージーモード。このレベルデザインについては合格点と言って良いだろう。
各ミッションにおけるクリア条件の大半は敵軍の殲滅だが、マンネリにならぬよう時折気色の異なるものが差し込まれる。狙撃兵2名で敵地に侵入して敵司令官を狙撃したり、圧倒的な敵軍から目的地まで逃げのびる、あるいは歩兵と対戦車砲だけを与えられて敵陣の大型兵器を破壊するミッションもある。普段は肉壁として酷使される歩兵が活躍するミッションもある。基本ミッション数は36と結構多めだが、最後まで飽きずにプレイすることが出来た。
総じて言えば、古い作品だが現代戦RTSの入門としては優れた作品だ。STEAMのセールでは￥100を切ることもあるので十分に楽しめるだろう。
ただし誉める点ばかりではなく欠点もそれなりにある作品だ。
まずマイナーな作品故に日本語対応はしておらず、日本語Modも存在しない。前述したようにシンプルな作品なので操作に迷うことはほとんど無かったが、ミッション内容やクリア条件の説明も全て英語なので少々ハードルは高いかもしれない。
次にミッションのクリア条件が分かり難いことだ。大半の条件は「敵軍の殲滅」だが、それがマップ全体の敵だったり、マップの特定区画の敵だけだったりする。ブリーフィング画面の説明内容が曖昧なので、プレイしながら確かめるしかない。おかげでいくつかのミッションではクリアまでに無駄に時間がかかることになった。
最後に一部のミッションにバグが放置されていることだ。自分は2つほど遭遇したが、どちらもミッションクリアに対してシリアスな内容だ。マイナー作品故に日本語どころか海外にも攻略サイトが少ないのでこれは結構致命的。幸いSteamのフォーラムを検索して対応方法を見つけることが出来たので、なんとかクリアすることが出来た。
このあたりの内容を見てプレイするかどうかの判断はプレイヤー次第だろう。個人的には￥98で購入した作品なので十分に元は取れる内容だと評価している。
実のところこういったタクティクス主体の現代戦RTSは本作が初プレイ。正直思った以上に楽しめた作品だった。CoHやMoWと言った有名どころも積みゲーしているので、今後それらの作品にも手を付ける良い切っ掛けとなりそうだ。
(2020年11月18日追記)
『Stalingrad』の紹介動画をYoutubeに投稿しました。
