『地球防衛軍5』 マイナーチェンジの正しい姿

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地球防衛軍5』を難易度ノーマル、兵科レンジャーでクリア。この時点でレンジャーは難易度ハードでM80、他の3兵科はノーマルでM80まで進めており、所要時間は約100時間。

前作『地球防衛軍4.1』についてはプレイ済。感想は下記記事参照。

 

martin-a.hatenablog.com

 この記事でも触れたように、『地球防衛軍4.1』は単純に楽しいゲームと言うだけでなく、その設計の秀逸さに唸る作品だった。最新作である『5』についてもその優れた設計コンセプトは引き継がれており、もうそれだけでコストパフォーマンスに優れた秀作の評価は決まったようなものだ。

その意味で本作『5』には作品の根底を成すコンセプトや設計レベルでの大きな変更点は見られない。『4.1』の続編としてはマイナー・チェンジといったレベルだ。しかしその変更点は決して大きくないが、ナンバリング・タイトルに相応しい内容であり、『地球防衛軍』の名を冠するに相応しいものであったと言える。本稿ではその変更点を中心に感想を書いていく。

①兵科:先述の幅を広げる修正

本作でプレイヤーが使用する兵科は『4.1』を踏襲した4兵科で追加はなし。しかし各兵科には多くの変更が加えられており。『4.1』に比べて選択できる戦術の幅が広がっていることが高く評価できる。各兵科の変更点についての感想は以下の通り。

レンジャー

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ビークルを自前で呼べるようになったことが最も大きい。汎用性の高さが売りながらもスピードと火力に劣るレンジャーの特性を補うバイクやレールガンを活用することでマップを縦横無尽に活用する戦術を採ることも可能となり、強みである使いやすさが増した。ダッシュ機能の追加も地味に嬉しい。

ウイングダイバー

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4兵科で最も変更点が小さいと感じた兵科。エネルギー・コアの導入は小さくない変化だが、難易度ノーマルの世界ではそもそも選択の幅が無いので変化を感じない。とはいえビッグ・コアを使用して機動性を犠牲にした超攻撃特化型の仕様を組むことが出来るなど、どちらかと言えばオンラインでのアセンが大きく変わる変化であるように思える。

エアレイダー

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一部の支援攻撃が功績ではなくリロード制となったことで継戦能力が大幅に向上。空爆コスパも向上し、オフラインでの使用感が最も向上した兵科。大群相手に空爆を連発する爽快さは癖になる。

フェンサー

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まさかのジャベキャン廃止により、プレイングフィールが最も変わった兵科。平面方向での機動性を失った代わりに3次元での凄まじい機動性を手に入れた。文字通りステージを跳ね回りながら派手にミサイルをばらまくのは快感の一言。補助装備と武器の組み合わせにより遠・中・近、攻め・逃げなど組み合わせによる戦術の幅の広がりが大きく、プレイして一番楽しい兵科。

②敵キャラ:挙動が進歩してより手ごわく

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敵キャラについては基本的に前作からお馴染みの面子(蟻、蜘蛛、蜂)が主体だが、本作で追加されたものも多い。特に大型且つ人型の敵キャラであるコロニストとコスモノーツが本作の存在が大きい。前作における大型タイプの敵は蟻にせよ蜂にせよ竜にせよ、基本的のその火力と膨大な体力が売りだったわけだが、本作で追加されたこの2種の敵はそうではない。所謂マザーモンスターに比べればそれほどの巨大さではないが、とにかく動きが俊敏な上、AIも優秀で挟撃や回り込み、アンブッシュを仕掛けるなど非常に手ごわい。兵装もアサルト、ショットガン、ビーム兵器(これが特に厄介!)、ロケランなど多彩で、高難易度ではどの兵装のエイリアンを優先して倒すかなどの戦略が問われる場面も多い。只強い敵を出す、というのではなく様々な攻め口を検討する余地を与える秀逸な追加要素と言えるだろう。

③ステージマップ:特に大きな変化はない

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ステージマップについてはさしたる変化はない。流石に『4.1』からの使いまわしこそ無いが、都市、山岳、海岸、洞窟と言った基本マップがミッションによって敵の配置や建物の破壊状況を変えて幾度も登場する。敢えて言うならば洞窟マップで敵が湧きだすアンカーや巣が配置されるようになった点が変化だろう。これによって洞窟ミッションの難易度は前作に比べて上がっていると感じる。エアレイダーには少々厳しい変更点だ。

④武器・装備類:変更点は大きいが賛否は分かれる。

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本作の武器・装備類に関する最も大きな変更点は特定の武器の追加や廃止ではない。従来の”レベル”に加えて”グレード”を導入した点だ。これまでは武器毎にレベルが設定されており、難易度が高いミッション程レベルが高く強力な武器を入手できたが、本作には入手する武器には”グレード”が付加されている。グレードは火力や射程などのステータスごとに設定されており、同じレベルの武器でもより高いグレードのものが火力や精度も高くなる。そのため高いレベルの武器でもグレードが低いものは使い物にならず、低レベルの武器でもグレードが高いものはかなり後半のミッションでも通用する。

これは今まで使用する機会の少なかった低~中レベル帯の武器を使用する機会を増やす意図があると思われるが、正直手放しで評価することは難しい。高レベル帯でも初期グレードの武器は正直使い物にならない為、グレードを上げるために所謂”武器稼ぎ”をこれまで以上に行う必要があるためだ。ドロップする武器のレベルは難易度とミッション毎に設定されているが、ドロップする武器は完全にランダムなので、お目当ての武器のグレードが上がるまでひたすら周回するしかない。現在正にその作業中なのだが、ドロップがランダムなため終わりが見えない。これは正直余計な変更ではないかと感じた。

総評:品質の高いマイナーチェンジ

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総じて本作は『4.1』から比較すると質の良いマイナー・チェンジと評価できる。基本的なコンセプトやシステムに変更はないが、ゲーム性をより向上させる変化が作品の隅々まで丁寧に仕込まれている印象だ。

いずれ『6』が発表されるだろうが、基本的にこの路線は大きく変わらないだろう(兵科の追加くらいはあるかもしれない)。やはりこのシリーズは世界観も含めたマンネリズムがあってこそ成立しているものだし、大きな冒険をする必要は無いのかもしれない。

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