『FTL:Faster Than Light』 偶然の宇宙へ飛び出せ!

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FTL:Faster Than Light』をクリア。難易度はイージー、所要時間は31時間。

FTL』と言えば言わずと知れた、とまでは行かなくともPCゲーマーにはよく知られたローグライクの名作。ちなみに本格的なローグライクは初プレイ。昨年末のセールで購入した作品だが、その直後にEPIC Gamesが無料で配布したのでちょっと涙目。まあそれでも十分に安かったので良しとする。

目的地を目指して、船は偶然の宇宙を駆ける。

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FTL』は宇宙船の艦長となり、反乱軍の秘密情報を伝えるために目的地を目指すゲームだ。行く手には反乱軍のみならず、宇宙海賊や敵対種族が行く手を阻み、小惑星帯太陽フレアなどの過酷な環境もプレイヤーを苦しめる。開始時点では武装もシステムも、そしてクルーも貧弱な宇宙船を指揮して戦闘やイベントをこなし、得られた資源で船を強化しながら目的地を目指すのだ。

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プレイヤーの進む宇宙空間は偶然に支配された世界だ。プレイする度にマップやステージは変化する。遭遇する敵やイベント、仲間となるクルー、ショップの品揃え、何一つとして予め約束されたものなどない。必勝法が存在しない偶然の宇宙こそが本作の魅力だ。

「運」に左右されることの楽しさ

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本作に限らずローグライクの大きな特徴の一つが、ダンジョン等の要素がランダム生成される点である。そして、このランダム化とはゲームプレイに対して「知識」や「技術」に加えて「運」を要求するものだ。プレイする度に「引き」の良し悪しがあり、運に左右される条件下でのやり繰りがプレイスキルと言う訳だ。

つまり「ローグライク」は所謂「運ゲー」ではない。寧ろプレイの度に変わる各種の条件に対し、如何に柔軟に対処するかを問われるゲームだと言える。

そして”ローグライク”としての『FTL』の大きな特徴は、この「運」要素に最も左右されるのがラスボス戦であることだろう。

「秘密情報を伝えるために宇宙船で目的地を目指す」本作であるが、目的地には当然のようにラスボスが待ち受けており、これに勝たなければクリア出来ない。そしてこのラスボスがとにかく強い。これまでに遭遇した敵とは全く比較にならない、けた違いの武装と耐久力を持っている。ラスボス戦まで漫然と進んで来たようなプレイヤーはまず歯が立たない。碌にダメージを与えられずに宇宙の藻屑と消えるだろう。相手の装備や攻撃方法を把握して、効果的な武装やシステムを駆使してようやく勝利が見えてくるほどの難敵だ。

ここでようやく気付くのだが、本作のプレイにおける本質は「ラスボス戦に向けて如何に準備するか」ということにあるのだ。本作はランダムに生成される8つのマップで構成されているが、ラスボス戦までの7マップに渡る行程は、全てラスボス戦への準備と考えなければならない。各ステージをクリアする事だけを目的にしてはラスボスに勝つことは難しいからだ。背後から敵が迫る中、限られた時間の中でマップを捜索し、集めた資源で必要なシステム、武装、クルーを整えていかなければならない。

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システムや武器、クルーには多くの種類がある一方で、それを得るための資源には限りがあり、全てを揃えることは出来ない。限られたリソースをやり繰りしてラスボスを破るために必要な装備を揃える必要がある。

そしてここで重要となるのが「運」の要素だ。本作のラスボスは、偶然に支配されたこの宇宙の中では例外的に確定的な存在で、その装備やシステム構成は毎回同じものとなっている。そのためラスボスに有効なシステムや武器、攻略方法は攻略サイトwikiで容易に確認することが出来る。

しかし偶然の宇宙がプレイヤーの思惑を左右する。ラスボスを倒すために必要なシステムや武器は分かった。しかしそれらを入手できるのかはあくまで運次第なのだ。いくら資源を貯めても必要な武器がショップに並ばないこともある。ショップに並んだ時には資源が足りない時もある。資源の量もショップの品ぞろえも全てランダム、運任せなのだ。そのためラスボス戦に理想的な準備状況で挑むことはそう多くない。優先度を踏まえた取捨選択こそがプレイヤーのスキルを問われる本作の醍醐味なのだ。

本作の1プレイにおける所要時間は短い。クリアまで3時間もかからないし、「運」が悪ければ5分とかからずゲームオーバーとなる。そのため少々中毒的な反復性があり、何度もリプレイしては「引き」の良し悪しに一喜一憂を繰り返すことになる。何百時間とプレイを重ねる猛者がいるのも納得の内容だ。 

たった一つの不満。

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 非常にシンプルな内容ながら、「運」に左右される戦略性の深さ。確かに名作の名に相応しい作品だ。しかし本作にも1点だけ不満がある。それはEasyモードの難易度があまりにも高いことだ。正直他のどのようなジャンルでも、Easyモードでこれだけ苦戦したことはない。とにかくラスボスの強さが甚だしく、Easyなのに容易に勝たせてくれない。これをEasyと呼ぶのはどうだろうか?Easyモードは本来ライトゲーマーに対しても敷居を低く設け、作品の間口を広げるためにあるものだと考えているが、この難易度では途中で投げ出すプレイヤーも多いだろう。(ちなみにSteamにおけるEasyクリアの実績は6.6%。なんと『SEKIRO』のトロコン実績より低い!)

高難易度を売りにするゲームであることは構わない。しかしEasyモードといいながらこの難易度は無いだろう。個人的な所感として難易度そのものは変える必要は無い。「Easy』モードを「Normal」に表記を変更してくれるだけでよい。そうしてもらえれば「俺はイージーすら歯が立たんのか...。」とあれほど嘆くことも無かっただろう。正直クリアは半ば諦めていたし、その場合本稿は『FTL』の難易度設計についてボヤくばかりの記事になっていたことだろう。いやはや、クリアできて本当に良かった。

 

 現在は他のゲームと並行しながらも、難易度Normalに挑戦中。まだ最終セクターにすら辿り着けていないが、飽きるまで続けていくつもりだ。(中々飽きが来ないのが本作の困ったところなのだが...。)

ちなみにセール時の価格は300円未満。EPICの無料配布でGetした方も多いだろう。コスパの面では圧倒的な作品なので是非お勧めしたい。但し本当に難しいのでその点は御覚悟いただきたい。

 

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