『Bright Memory』 傑作への昇華を期待したい
『Bright Memory』をクリア。クリアと言っても本作はEp.1のみが収録された、実質的な有料体験版なので1時間もかからなかった。
個人製作とは思えぬクオリティがゲーム実況界隈で話題となり、Playsmによるパブリッシングも決定した作品。昨年のウィンターセールで購入していたが、ようやくプレイしたので感想を書いておく。
やりたいことを詰め込んだ贅沢な作品
ゲーム内容に関して言えば、開発者が自分の理想とする作品を目指し、やりたいことを全て詰め込んだ、とにかく贅沢な作品だと感じた。基本はFPSなのだが、単なるシューターではなく近接攻撃の重要性も高い。スキルと組み合わせることでコンボに繋げ、その内容によってスコアがランク付けされるところなどはDMCを彷彿とさせる。
3つのカテゴリに分けられたPerkについても、現在はそれほどの数ではないが、今後開発が進めば更に追加されるだろう。
銃器については拳銃、アサルトライフル、ショットガンの3種類。銃器はどちらかと言えばモブ処理用であり、ボス戦は近接主体のスタイルなのでこれ以上の追加は無いかもしれない。あるとすればスナイパーライフルの追加くらいではないだろうか。
ボス戦については非常にダクソライク。ボスの重い一撃をドッジで避けつつ近接を叩き込むHit&Awayが基本。ボスの攻撃パターンが乏しく単調さは否めないが、この点は今後の開発に期待したいところ。
物凄く安易な表現をすればFPS+DMC+ダクソな作品。開発者がやりたいことが非常にストレートに伝わってくる。そのうえ実質的に未だ開発途上の作品であるにもかかわらずクオリティが高い。1時間弱のプレイではあるが、妙な挙動やバグの類は見受けられなかったし、プレイ自体も非常に快適。これは確かに話題になるのも当然だろう。
課題は多い。しかし期待したい作品
しかし気になる点が無いわけでもない。色々な要素を詰め込んだ贅沢な作品とは言ったが、それは同時に総花的であるとも言える。FPSにDMCやダクソ的な要素を組み込んだとの試みは良いが、個別に見れば物足りない点が多い。FPSとしては武器の種類が足りない上に銃器自体がボス戦では空気だし、スタイリッシュアクションとしては、コンボが基本的に浮かせて攻撃の繰り返しで単調、ボス戦についてはダクソを意識しすぎてHit&Awayの単調さが気になる。
個々の要素の作り込みだけでなく、そのバランスも未だ発展途上と言うべきだろう。やりたいことは良く分かるのだがどっちつかずな印象は否めない。「DMCっぽいFPS」、「ボス戦がダクソっぽいFPS」以上の”Bright Memoryらしさ”を印象付けるレベルにまでは達していないと感じた。
しかし現時点においてはこれは欠点ではない。個人的には非常に可能性を感じる作品であったことは間違いない。今後Perkの構成やマップのデザイン、ボス戦の仕様、そしてそれらのバランスについての仕上がりによってはかなりの傑作になる匂いは十分に感じ取ることが出来た。最終的な評価は実質的な製品リリースである次作『Bright Memory Infinite』を待つべきだろう。
正直本作のクオリティでエピソードを追加していくだけでも十分に良作と言える内容になるとは思う。しかしそれでは非常に勿体ないと思えるだけの可能性が本作には備わっている。『Bright Memory Infinite』がEp.2的な作品となるのか、単体で完結する作品となるのか現時点では不明だが、個人的には妥協せずに仕上げてほしい作品だ。欲を言うならばTPSモードは追加した方が良いと思う。見た目におけるコンボの派手さが全く違う上、せっかく美少女キャラを主人公にして、既にスキンの追加までしているのだからTPSモードがあればより映える作品になるだろう(MOD界隈も盛り上がるだろう)。
現時点の評価はここまで。『Bright Memory Infinite』を待つとしよう。