『Cave Story+洞窟物語』 全てにおいて高品質、名作の名に偽りなし

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先日Epic Gamesの無料配布作品として紹介した『Cave Story+洞窟物語』をクリア。作品についての簡単な紹介は以下の記事と動画を参照。

martin-a.hatenablog.com

 

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序盤を2時間ほどプレイした時点でこれはクリアを目指したいなと感じていたが、実際にクリアした感想として、その期待は裏切られなかった。アクションシューティングとしても冒険活劇としても傑作と呼ぶにふさわしい作品だった。とにかくあらゆる点で質の高い作品で、クリア後の満足度が高い。これほどの作品が無料で配布されるのだから良い時代だ。ゲットした方は是非プレイするべきだと思う。

アクション・シューティングとしての完成度の高さ

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本作のジャンルはアクションシューティング。マップを行き来しつつライフ増加のアイテムや強力な武器を探して攻略を進める点などはメトロイド・ヴァニア風でもある。用意されたマップはどれも個性的で、マップ一つ一つに特徴と個性的なギミックに溢れている。初見殺しなトラップあり、ちょっとしたパズル的な要素もあり攻略を飽きさせない。そして各マップに配置された個性的なボスキャラ戦がまた楽しく、攻略に花を添える。

本作のプレイ面における特徴として武器にもレベルがあり、敵を倒して取得する経験値でレベルアップしてより強力な攻撃が可能となるが、被弾すると経験値を失いレベルダウンする。そのためどの場面でどの武器を強化するのか、ボス戦までの行程を踏まえてどの武器をどのタイミングで使用するのかを考えるのも本作の面白いところだ。

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難易度はやや難しめと言った所。今回のプレイではノーマルエンドを難易度普通で、真エンドを難易度イージーでクリアしたが、自分のプレイスキルを考慮するとこのくらいがちょうど良かったと思う。攻略情報無しでプレイしたノーマルエンドは強力な武器を取得できなかったが、代わりに中程度の武器を序盤で取得したので終盤まではそれほど苦労しなかった。しかしラスボス戦では大苦戦して結局2時間以上かかってクリアする羽目になった。攻略情報を見ながらプレイした真エンドでは、強武器を手に入れる中盤までがそこそこ厳しいものの、ノーマルで苦戦したラスボス戦はアッサリとクリアできた。強武器を手に入れた上、被弾時のダメージが半分になるので当然だろう。しかし真エンドではラストダンジョンの難易度が跳ね上がるのと、更にその先にこれまた難易度の高いダンジョンがあり、その奥に真のラスボス戦が控えている。おそらく難易度普通ではクリアできなかったと思う。自分のプレイスキルのレベルでは、この「ノーマルエンドを難易度普通」「真エンドを難易度イージー」がカジュアルに楽しめる組み合わせだったと思う。

個々のマップの広さ、全体のマップ数、配置されたボスキャラの数などボリュームの配分も非常に巧みで、大体初見で6、7時間程度でクリアできるボリューム。この程度ならプレイ疲れすることもなく、気持ちよくクリアまでプレイできる。このバランス感覚は非常に優れていると感じる。

演出もお見事、特にBGM

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プレイ面のみならず演出面も非常に良質。ドット絵で表現されたマップやキャラクターの造りは丁寧であり同時に個性的。キャラクターもマップも非常に遊び心に溢れたデザインで、作り手が楽しみながら本作を開発したであろうことが伝わってくるような出来だ。そして何よりも素晴らしいのがBGMで、これは出色の出来と言って良いだろう。自分がプレイしたゲーム作品の中でも指折りの品質だ。どのマップ、どのボス戦のBGMでも耳に残る素晴らしい楽曲で、一つとして”捨て曲”が存在しない。8Bit調のアレンジもドット絵のグラフィックとの相乗効果でプレイヤーを鼓舞してくれる。このレトロな演出は自分のような初代ファミコンのど真ん中世代には非常に訴求する。プレイ品質の高さを更に高める秀逸な演出。これだけでもう名作の名に偽りなしと言って良いだろう。

王道の冒険活劇

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シナリオにも非常に満足。本作で展開されるのは王道の冒険活劇だ。全ての記憶を失い洞窟の中で目覚めた主人公は、”ミミガー”と呼ばれるウサギ型の住民と出会い、彼らの脅威である”ドクター”と、”赤い花”を巡る企みに巻き込まれ、”ドクター”の陰謀を阻止するための冒険に足を踏み出す。冒険のワクワク感あり、コミカルな展開あり、シリアスな展開あり、ハラハラドキドキなピンチあり、クライマックスのカタルシスあり、そしてBoy meets Girlあり、正に王道の冒険活劇。アクションシューティングである本作の魅力を最大限に引き出す魅力的なストーリーだ。

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個人的には主人公と同様の武装探索ロボットである”カーリー”が大変気に入った。凄く良い子で可愛い。そそっかしくて無鉄砲で、優しくて勇敢。正に冒険活劇の正統派ヒロインといった所(ドット絵のキャラがまた可愛いんだ)。基本的にプレイ主体の本作では個々のキャラクターについてそれほど深く掘り下げられないのだが、それでも十分に魅力的だった。真エンドのラストダンジョンではこのカーリーとお互いに背中を預けて戦いに挑むのだから、そりゃあもう盛り上がることこの上ない。うん、冒険活劇ってのはこうあるべきだよな、と久々に思えるストーリーだった。正直このストーリーだけで別メディアに展開出来る内容だと思う。

名作の名に偽りなし

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インディーゲームの名作として名高く、2012年TIME誌の「史上最も偉大なゲーム100」にも選ばれた本作。名前こそ聞いていたが、今回無料配布されたことで初めてプレイした。結果は実に満足。プレイ、演出、ストーリーと全てにおいて高品質であり、同時に個性的。難易度やボリュームのバランス調整も実に巧み。正直クリアした後もこれと言った欠点が見当たらない。探せばなにかあるかもしれないが、欠点が気にならない程の魅力に溢れている作品だと思う。ゲーム好きなら一度はプレイしておくべき作品。実に満足なプレイだった。

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