『Wofenstein:The Old Blood』:旧作へのオマージュが感じられる前日譚

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『Wofenstein:The Old Blood』を難易度ノーマルでクリア。所要時間は10時間ほど。

シナリオは前作『Wofenstein:The New Order』の前日譚にあたり、本作のエンディングがそのままThe New Orderの冒頭に繋がる流れになっている。とは言うものの、前作へつながる伏線であるとか、未解決の謎が明らかになるという訳でもなく繋がりは薄いので、前作を未プレイでも問題なく進められるだろう。

前作と比較してChapter数が半分、ボリュームが体感で3分の2といったところで、かなりコンパクトにまとまった印象だが、各Chapterのボリュームが前作より大きいため、それほど短い、という気はしなかった。

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居眠りで登場する主人公...

前作に比較して主人公であるブラスコヴィッチのモノローグが大幅に減っているので、よりプレイに集中できる造りになっている。ブラスコヴィッチのキャラクターについては前作で深掘りできているので、前日譚であり、外伝的な意味合いが強い本作ではこの演出が正解だろう。

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本作ではその舞台の多くがシリーズタイトルでもあるWolfenstein城となっており、作品の前半はその城からの脱出がメインミッションとなる。これはシリーズの原点である『Catsle Wolfenstein』へのセルフ・オマージュと見て良いだろう。IP名に冠せられながら、前作では触れられることが無かったWolfenstein城の登場は、旧作からのファンに向けた制作陣からの贈り物と言ったところだ。

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敵役は前作同様下種揃いだが、少々インパクト弱め

前作の発表から間をおかずにリリースされたこともあり、ゲームシステムにほとんど変更はない。前作との比較で言えば、本作初登場の武器があるくらいだろうか。どれも単発の威力が高めで使い勝手が良く、陳腐化を感じさせないためのアクセントとしては十分に機能している。(あと近接武器から登壁用具、万能マスターキーと八面六臂の活躍を見せるパイプ先生の有能さよ)

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ステージ構成もWolfenstein城以外にも、中盤以降はケーブルカー、波止場、墓地など前作よりも開けた空間ステージが多く、前作とはまた異なる立ち回りを楽しむことが出来る。このあたり、前作のシステムを使いまわすだけに終わらず、プレイヤーに飽きを生じさせない手立てを打つ点は流石に老舗シリーズの貫禄と言うべきか。

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後半はゾンビが登場したり、インディー・ジョーンズ張りの超古代文明が登場したりとこのあたりも旧作へのオマージュが見て取れる。ゾンビ相手の戦闘は前作にはない要素なのでなかなか楽しめる。なにせステルスの必要が無いので、本作には珍しく出鼻からアサルトライフルを撃ちまくり、圧倒的火力で蹂躙できる。

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また、各Chapterの最後にはボスキャラなりWave式なり締めを飾る戦闘があり、意外にあっさりと各Chapterが終了する前作に比べてメリハリが効いている。Chapter数が少ないからこその仕様ともいえるが、シナリオよりもプレイに重点を置いた造りが良くわかる構成だ。

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DLCと言うにはボリュームが多く、ナンバリングタイトルとしてはボリューム不足。正に外伝と呼ぶにふさわしい内容。物語やキャラクターの深掘りは期待できないが、前作のプレイを楽しめたプレイヤーであれば間違いなく本作も楽しめるだろう。

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