2017-01-01から1年間の記事一覧

年末年始は更新お休み

タイトルのみ

ロボットと市民権と『バイセンテニアル・マン』

gigazine.net 少し古いニュースですが、サウジアラビアでロボットが市民権を取得したそうです。このニュースを聞いて、古いSF読者ならばアイザックアシモフの名作『バイセンテニアル・マン』を思い起こす方もいるのではないでしょうか? アイザック・アシモ…

ヨーロッパのポピュリズム

今年の政治関連のキーワードは「ポピュリズム」だと思いますが、日本ではどうにもトランプ大統領の言動ばかり取り上げられがちです。実のところそれを批判する立場であるEU側のお膝元もずいぶんきな臭くなってきました。 EUの中でも特に、オーストリアとポー…

CATVチャンネル考

CATVについて少し書いてみます。 もう何年も地上波のTVをほとんど見ない生活が続いています。せいぜいNHKで朝晩のニュースを見るくらいでしょうか?TVはもっぱらBS、CSのチャンネルをザッピングしている状態ですね。 CS放送では映画、音楽、アニメ、ドラマ等…

アイ・ロボット:名作から生まれた凡作

評価:1点(5点満点) 総評 ※本作およびアイザック・アシモフ作品の一部ネタバレがあります。 2004年公開、アイザック・アシモフの名作SF短編集の名をタイトルに冠したSF映画です。SFは好きなジャンルなので、メジャーな作家はある程度読んでいます。その中で…

キーが短調から長調に変わるだけで、、、

つらつらとネットをサーチしていた時に見つけましたがこれは面白いですね。 gigazine.net 当たり前と言えば当たり前なのですが、実際に聴くと印象が全く変わってびっくりです。「ゴッドファーザー 愛のテーマ」がなんとものんびりした印象に変わってしまいま…

これは人気も出ますよね。分かってはいても

ロシアのプーチン大統領が年末恒例の大規模記者会見を開きました。 www3.nhk.or.jp この記者会見はプーチン政権年末の風物詩で、国内外のメディアを相手にプーチン大統領が長時間(3~4時間!)にわたり質問に答える会見です。時間が長いだけでなく参加するメ…

ドイツ参謀本部:遷移する戦争の中で生まれた”参謀”という役割

評価:4(5点満点) 書名:ドイツ参謀本部 著者:渡部昇一 出版社:中央公論社 総評 参謀 - Wikipedia 「参謀」という言葉は現代では用語が広がり、企業経営やスポーツなどでも使用されるがもともとは軍隊における役割を示す用語である。本書はその「参謀」と…

BS世界のドキュメンタリー『ヒトラー暗殺計画』

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www6.nhk.or.jp 第2次世界大戦当時、アドルフ・ヒトラーに対して計画されていた30余りの暗殺計画のうち、有名な数件についてその顛末を追ったドキュメンタリーです。 番組では当時暗殺を目論んだ人物をそのまま登場させて、暗殺に至る背景や経緯を証言させる…

BS世界のドキュメンタリー『ヒトラー『我が闘争』~封印を解かれた禁断の書』

TV

www6.nhk.or.jp ヒトラーの著書である『我が闘争』が、ドイツでは発行禁止状態にあることは知っていましたが、これは法律で規制していたのではなく、著作権を管理しているバイエルン州が出版を認めていなかったからだというのは番組を視聴して初めて知りまし…

キャプテンスーパーマーケット:80年代風スラップスティック・ホラー・コメディ?

評価:0.5(5点満点) 総評 カルト映画の傑作として有名なサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』シリーズの3作目。3作目ではありますが、別段前作、前々作を見ておく必要はありません。一応冒頭に前作のダイジェストがありますがそれも見なくてよいくらいです(…

BS1スペシャル「サムライゲーマー~賞金5億円 世界に挑む若者たち~」:新しい「スポーツ」の潮流

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BS1スペシャル「サムライゲーマー~賞金5億円 世界に挑む若者たち~」を視聴しました。 www.nhk.or.jp e-sportsについては世界的に競技人口や市場規模が拡大していることもあり、日本でもようやく認知度が向上しています。最近では東京オリンピックに向けた…

BS1スペシャル「ワルシャワ蜂起 葬られた真実 カラーでよみがえる自由への闘い」:テクノロジーによるアーカイブへの貢献

TV

11月30日放送BS1スペシャル『ワルシャワ蜂起 葬られた真実 カラーでよみがえる自由への闘い』を視聴しました。 www.nhk.or.jp 第2次世界大戦のものに限らず、白黒フィルムで撮影された過去の映像を、カラー化してデジタルアーカイブとする活動は近年活発に進…

エルサレムへのアメリカ大使館移転は妙手?悪手?

BS1で「映像の世紀プレミアム」が再放送中ですね。 www4.nhk.or.jp 本日の放送分を観ていたところ、先日書評を書いた『ロスチャイルド~富と権力の物語』にも登場したロスチャイルド家のエドモン、モリス、ギーの映像が紹介されていました。もともとロスチャ…

天国と地獄:映画の中に残る風景

評価:3(5点満点) 総評: 1963年公開の言わずと知れた黒澤明作品。当たり前ですが役者がみな若いですね。三船敏郎は黒澤映画でのイメージが強すぎるのでそれほどは感じませんが、現在も現役の仲代達也は露出も多いので本当に若い。犯人役の山崎努も、現在で…

BS世界のドキュメンタリー『乳牛たちのインティファーダ』(11月29日再放送)

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BS世界のドキュメンタリー『乳牛たちのインティファーダ』を視聴しました。 www6.nhk.or.jp ドキュメンタリーを観る理由の一つには、自分の知らない知識、自分とは違う視点を得ることにあると思います。その意味では海外のドキュメンタリー番組を放送するNHK…

第7の封印:キリスト教世界では普遍的?

評価:3(5点満点) 総評: イングマール・ベルイマン監督の1956年公開作品。 十字軍の遠征から10年振りに帰国した騎士アントニウス。従者とハンスと共に故郷へ赴く途上死神に出会う。自らの死を告げる死神に対し、アントニウスはチェスの勝負を申し込む。勝負…

BS世界のドキュメンタリー『プーチンの道~その権力の秘密に迫る~』(11月28日放送)

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2015年に制作された番組の再放送。 www6.nhk.or.jp これだけ汚職の影が付きまとい、強権的な政治姿勢が批判されているとしても、それはやはり西側の視点で見た一面でしかないのかな、という印象。実際のところプーチンという人物は2000年から事実上17年近く…

スローターハウス5:視点と時系列の複雑な交錯

評価:2.5(5点満点) 総評 『スローターハウス5』は複雑な映画と言えるでしょう。映画内では主人公ビリー・ピルグリムの過去の体験が時系列を無視して描かれることになります。第2次世界大戦におけるドイツでの新兵時代、戦争後~結婚直後までの時代、中年期…

アナザーストーリーズ「ゾンビ誕生の衝撃~なぜ世界は恐怖したのか?~」

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普段は見ていない番組ですが、番宣でジョージ・A・ロメロの名前をみて視聴。ゾンビとその生みの親であるロメロについて、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』脚本家ジョン・A・ルッソ、『ドーン・オブ・ザ・デッド』特殊メイク担当トム・サヴィーニ、そし…

BS1スペシャル「伝説の晩餐会へようこそ2~冷戦後の新たな戦い」:ゴルバチョフから見た冷戦終結後の世界

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先週再放送された第1回に続いて視聴。 今回もタイトル負けの感は否めない。むしろ前回より「晩餐会」が番組の内容に占める比重は下がっているように思える。冷戦後の新たな世界構造を追う今回も、首脳会談を軸に当時を振り返るという番組のコンセプトは変わ…

ボビー・フィッシャーを探して:GIFTと成長の物語。父と子、グルとメンター

評価:3(5点満点) 総評 1993年公開のアメリカ映画。実在するチェスの天才少年についての物語。才能の発芽と成長、ライバルの登場、苦悩と挫折、そして勝利を描くという意味ではギフテッドを描く映画としては非常にオーソドックスな脚本です。本作中の時系列…

M☆A☆S☆H :現在の視点で見ると少々厳しい...

評価:2(5点満点中) 総評 映画に限らず一般に娯楽や芸術というものにはどうしても「同時代性」の呪縛があるように思います。つまりその作品が発表された時代の文化、風俗、思想諸々が反映されているため、それが善かれ悪しかれ後年の体験に影響を及ぼすとい…

ナショナルジオグラフィックTV『エクスプローラー』(11月24日放送)

TV

ナショナルジオグラフィックTVで今月から放送を開始した『エクスプローラー』を見ています。この放送が第2回。番宣を見たところ、この先日本の特集が放送されそうなので、今のうちから見ておこうと思いました。 番組の構成は前半30分がメインコンテンツとな…

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち:歴史的裁判の側面を描く(”側面から”ではない)

評価:3(5点満点中) 総評 2015年制作のイギリス映画。ケーブルテレビで視聴。 1961年にイスラエルで行われた、所謂アイヒマン裁判をTV中継した人々を描いた作品です。 アイヒマン事件そのものではなく、この歴史的裁判のTV中継に挑んだ製作者たちの姿を描く…

浮羽稲荷神社~調音の滝公園

福岡でも先週末から急に寒くなりました。バイクに乗る際にもインナー付きのジャケットが欠かせない季節になりました。 本日は浮羽稲荷神社へ行った際の記録のUPです。 浮羽稲荷神社は鳥居の並ぶ参道が有名な神社です。とはいうものの京都の伏見稲荷大社とは…

食は広州に在り:思わず腹の虫が鳴る食エッセイ

書名:職は広州に在り 著者:邸永漢 発行:中央公論社 事業家であり作家でありコンサルタントでもあるという多才の人、邸永漢1975年のエッセイ。 氏の食をテーマにしたエッセイはどれも読みやすく面白いものが多く、本作がその代表と言えるだろう。扱う食の…

BS1スペシャル「伝説の晩餐会へようこそ~ゴルバチョフ・冷戦終結を巡る秘話」:亡国の元首が語る冷戦終結のプロセス

TV

BS1のドキュメンタリーは自社他社政策を問わず興味をそそる番組が多いため、番組表で確認しては気になるものを録画するようにしている。 東西冷戦をテーマにしたものではベルリンの壁崩壊の序章となったヨーロッパ・ピクニック計画を追った番組が秀逸で、現…

ATOLL 『ROCK PUZZLE』:ポップさが光るプログレッシブ・ロックの佳作

評価:4(5点満点中) 総評 フランスのプログレッシブ・ロックバンドATOLL、1979年の作品。 代表作『組曲「夢魔」』と比較すると、本作はアルバムを通じてポップさが際立つ作品となっている。どの曲もバンドの特徴であるホーン、ストリングを交えた綿密なアン…

ミツバチのささやき:どこか陰鬱だが美しいスペインの風景

評価:3(5点満点) 総評 1973年公開のスペイン映画。 この映画はスペイン・カスティーリヤ地方のある村が舞台となっていますが、とにかくその情景が素晴らしいですね。いわゆる観光地的な美しさではなく、むしろ荒涼としたともいえる風景なのですが、いまだ電…