BS1スペシャル「サムライゲーマー~賞金5億円 世界に挑む若者たち~」:新しい「スポーツ」の潮流

BS1スペシャル「サムライゲーマー~賞金5億円 世界に挑む若者たち~」を視聴しました。

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e-sportsについては世界的に競技人口や市場規模が拡大していることもあり、日本でもようやく認知度が向上しています。最近では東京オリンピックに向けた動きもあるそうで。

東京オリンピックにeスポーツを――オンラインゲーム・eスポーツ議連が小池都知事に要請 - ファミ通.com

この手の新しいムーブに政治家が絡むとろくなことにならないのでおよしなさい、という気もしますが、とはいえe-sports自体が日本の既存のスポーツ界ですら無視できない盛り上がりを見せているという証左ではあるのでしょう。

この先50年程度の将来を見据えた場合、アマチュアスポーツの世界においても、プロスポーツの世界においても避けて通ることのできないテーマが2つあると感じます。

一つがこのe-sportsの興隆に対する対応です。こちらは競技人口や市場規模において既に無視できない存在となりつつあり、IOCですら将来の正式種目化への含みをコメントしています。

国際オリンピック委員会がeスポーツの正式種目化を期待している、と公式声明の中で言及 - GIGAZINE

オリンピックに純粋なアマチュアリズムを求めるようなナイーヴさはすでにIOCから駆逐されていることを考えると、他の競技よりも楽にこれは実現するかもしれません。エンターテイメント性(そもそもゲームですし)が極めて強く、ビジネスとしてのポテンシャルはまだこれからのe-sportsを、IOCとしてはぜひとも取り込みたいくらいに考えているのではないでしょうか?ただその場合、採用される競技はどのような形になるのでしょうね?特定のゲームが競技として採用されるのか?それとも「個人戦」や「~人制(チーム戦)」といったようなフォーマットを定め、大会ごとに採用するゲームを変える形になるのでしょうか?統一的な競技団体の設立やレギュレーションをどこまで迅速に構築できるかがカギであると思いますが、一方で採用されるゲームの選定やレギュレーションの作成でいろいろともめ事も多くなりそうです。

もう一つのテーマが障碍者のオリンピックへの参入です。現在はオリンピックとパラリンピックに区分されている競技スポーツの世界ですが、競技用義肢などテクノロジーの発達により、四肢に障害を持つアスリートがオリンピックへ参入する道が開けました。有名なところでは「ブレードランナー」こと南アフリカのピストリウス選手がいます。

オスカー・ピストリウス - Wikipedia

生活用の義肢とは別に競技用の義肢についての技術は飛躍的に発展しており、この潮流も今後加速することはあっても停滞することは無いでしょう。各競技の管理団体としても今後どこまでの義肢を競技用として認めるべきなのか、レギュレーションに苦労することになると思います。この点で興味深いのは、レギュレーションで認められた義肢を使用する選手の記録が、所謂健常者の記録を凌駕した場合、選手はどのように反応するのかという点です。競技のために自分の手足を義肢に取り換える、という選手が出てこないとも限りません。また、今後義肢のテクノロジーが急速に発達し、生身の肉体をはるかに上回る製品が開発された場合、エンターテイメントとしてそのような義肢を装着した選手が活躍する新たな形のスポーツが誕生するかもしれません。そうなれば健常者と障碍者の区分が今よりもあいまいな形になる可能性があります。義肢というものが障害を持つ人だけに向けたものではなく、より一般化された世界を想像すると、あながち妄想とも思わないのですがどうでしょうね。

後者のテーマをよりラディカルに取り上げた番組としては下記がありましたがこれも興味深い内容でした。

www.nhk.or.jp

50年後、オリンピック/パラリンピックという区分けは果たして存続しているでしょうか?