『Stronghold Crusader2」キャンペーン”獅子心王” ミッション①「最初の流血」

f:id:Martin-A:20191207234631j:plain

『Stronghold Crusader2』キャンペーンミッションの続き。今回から2番目のキャンペーンである”獅子心王”に取り掛かる。最初のミッションである「最初の流血」だが、8日以内に敵の君主を打ち取ることが目標だ。

イージー、ノーマルであれば正面からのごり押しでもクリアできるが、手持ちの戦力が少なく、敵戦力が多いハードモードはそうもいかない。攻略の鍵は進軍経路だ。

f:id:Martin-A:20191207234920j:plain

城壁に向かって右側には、強力な範囲攻撃を放つユニット”旋風デルビーシュ”が配置されている。それを避けるために全軍を最初に左側へ移動する。その後、徴募兵を囮に攻撃を引き付け、カタパルトで城壁を破壊する。

f:id:Martin-A:20191207235106j:plain

城壁を破壊したら突入を開始。残った徴募兵、槍歩兵、剣士の順で一直線に敵の君主を目指す。徴募兵が弓兵の攻撃や、城壁内に散らばるシミター兵の攻撃を引き付けるので、槍歩兵はほぼ全数が君主に接敵することが出来るはずだ。

f:id:Martin-A:20191207235319j:plain

君主はとにかく硬いので槍歩兵までは全滅するが、剣士が到着するまでにある程度の体力を削ることが出来る。そこにほぼ万全の状態で剣士を全員送り込めれば勝利確定となる。

f:id:Martin-A:20191207235535j:plain
f:id:Martin-A:20191207235452j:plain

f:id:Martin-A:20191207235509j:plain

期間が8日間と短いのが厄介だが、進軍経路を間違わなければハードモードでもそれほど難しくはないだろう。

 

今回のミッションの実況動画はこちら。

www.youtube.com

『Stronghold Crusader2」キャンペーン”戦支度” ミッション③「ライオンのすみか」

f:id:Martin-A:20191206230157j:plain

『Stronghold Crusader2』キャンペーンミッションの続き。

3つ目のキャンペーンでようやくハードモードらしい手ごたえが出てきた印象だ。

今回の目標は石材240個の獲得。採石場は砦から離れた位置にあり、その途中には前ミッションでも登場したライオンの巣が配置されている。採石場の奥にはさらにイスラム国家の砦が建設されており、ライオンを討伐しただけでは石材の生産を始めることが出来ない。しかも期限が25日と定められているため、悠長に戦力を整える時間もない。

f:id:Martin-A:20191206230525j:plain

攻略のポイントは如何に迅速にライオンの巣を殲滅するかにある。ハードモードでは巣が3つあるのでなかなか大変だが、初期戦力だけで早々に討伐を開始するほうがよい。徴募兵と槍歩兵を盾に、弓兵で一匹ずつ削り、巣の外にいるライオンを殲滅した後に迅速に巣を破壊する。援軍が到着するまでに2つ目の巣を破壊できれば、残り一つは増援部隊に任せても良い。5日目までにライオン討伐が完了すれば時間は十分だ。

f:id:Martin-A:20191206230925j:plain

f:id:Martin-A:20191206230954j:plain

ライオン討伐後は弓製作所を建設し、弓兵を増産する。時間が惜しければ2、3軒作ると良いだろう。弓兵の数が10名程度になれば砦の攻略を始める。槍歩兵と徴募兵を城壁前のシミター兵にぶつけて、その間に弓兵で城壁の敵弓兵を削る。城門周辺の敵を排除した後に採石場まで戻る。深追いする必要はなし。

後は資材と場所の許す限り石切り場と牛繋ぎ場を建設して石材の生産を開始する。

石材が貯まるまでに数回敵の増援が発生するが、4,5名の弓兵なのでこちらも弓兵を追加して採石場周辺に配置しておけば問題なく撃退できるはずだ。

f:id:Martin-A:20191206231618j:plain

石切り場を3、牛繋ぎ場を9建設したところ、19日目でミッション完了となった。これならば砦の攻略はもう少し戦力を増やしてからでも良いだろう。

f:id:Martin-A:20191206231643j:plain

これで最初のキャンペーンは終了。次回以降は本格的な軍事ミッションに突入する。

 

そして今回も実況動画を作成した。

www.youtube.com

 

『Stronghold Crusader2」キャンペーン”戦支度” ミッション②「刀鍛冶と弓」

f:id:Martin-A:20191205232222j:plain

『Stronghold Crusader2』キャンペーンミッションの続き。

”戦支度”2番目のミッションは資材(鉄)と武器(剣と弓矢)の調達。調達ミッションであることは最初のミッションと同じだが、今回はライオンが登場して住人を脅かす。

本ミッションもハードモードでのプレイだが、最初に徴募兵を十数人雇用して、早々にライオンの巣を叩けば問題なくクリアできる。

f:id:Martin-A:20191205232532j:plain

君主自らライオン退治に赴いてもいいが、足が遅く時間がかかるので徴募兵を使用してさっさと済ませてしまった。

他に注意すべき点としては、イナゴの害が発生するので食料を多めに確保しておくくらいだろうか。

最初のミッション同様チュートリアルの意味合いが強いので、ハードモードとはいえ苦労することはないだろう。

f:id:Martin-A:20191205232810j:plain

f:id:Martin-A:20191205232827j:plain

今回のミッションについても実況動画を作成した。

www.youtube.com

今後のミッションは時間もかかったので動画編集が大変になりそうだ。

『Stronghold Crusader2』キャンペーン”戦支度” ミッション①「到着」

f:id:Martin-A:20191204210410j:plain

『Stronghold Crusader2』のキャンペーンをプレイ。本シリーズは『Stronghold』、『Stronghold Crusader』の2作をプレイ済だが、いずれもノーマルモードでのプレイであったため、本作についてはすべてのミッションをハードモードで挑戦した。

既にキャンペーンについては全ミッションをクリア済だが、最終的な感想を書く前に、各ミッションの説明記事を残しておきたい。

キャンペーン”戦支度” ミッション①「到着」

f:id:Martin-A:20191204210712j:plain

本作最初のミッションは、シリーズ恒例の物資調達ミッション。ハードモードとはいえ敵は出てこないので全く問題なくクリアできる。

敢えて気を付ける点があるとすれば、リンゴ畑を設置できる場所に木こり小屋を建てないように気を付けることくらいだろう。

f:id:Martin-A:20191204210931j:plain

今回新たな試みで、各ミッションの攻略動画をAviutlとYMMで作ることにした。

そちらもリンクを載せておくことにする。

www.youtube.com

動画編集には初めて挑戦したが、なかなか楽しい。できれば本作の全ミッションは動画に残しておきたい。

『Surviving Mars』 無料で入手したけど未プレイ?それはもったいない

f:id:Martin-A:20191117233458p:plain

 『Surviving Mars』をプレイ。2018年にParadox Interactive社から発売された都市育成シム。ロケットとドローン、そして限られた資金と物資を元手に火星に都市を築き上げることが本作の目的となっている。

先日Epic Games Storeで無料配布されていたのでそこから入手した人も多い作品だろう。自分もその口だ。とはいえカジュアルに楽しめるアクションやパズル系の作品と比べてやや敷居の高い作品なので入手したまま放置しているケースも多いだろう。それはなんとももったいない話だ。本作で管理するパラメータの数はそれほど多くなく、都市育成シムとしては比較的難易度の低い作品なので、是非一度プレイしてほしい。他の都市育成シムと同様に、本作でもプレイ開始直後は何もないフィールドに手元の資源と共に放り出された状態であり、何から手を付ければ良いか分からないプレイヤーも多いだろう。チュートリアルも実装されているが、パラドゲーの常としてそれほど分かりやすい内容ではなく、自分も開発を軌道に乗せるまでに3,4回のやり直しが必要だった。他のプレイヤーの参考までに本稿では自分のプレイの流れを簡単に説明しておく。なお、現在プレイ時間は30時間。スポンサーは「多国籍火星入植ミッション(Very Easy)」。5つのミッション目標は達成済。研究は全て完了。7つの遺産を全て建造した状態。実績は1回のプレイで解除できるものを9割程度達成した状態だ。

f:id:Martin-A:20191118113529p:plain

f:id:Martin-A:20191118113547p:plain

 

行程①:入植準備

f:id:Martin-A:20191118113904p:plain

 プレイ開始後しばらくはインフラの整備に専念することになる。資源を集め、生産設備を建築し、入植するための都市を作り、入植の準備を整えるのだ。本作の資源は大きく建築資源と人的資源に分かれる。建築資源は下級資源(金属、コンクリート、水)と上級資源(レアメタル、食料、ポリマー、電子部品、機械部品)に分かれており、上級資源の生産設備には人的資源の配備が必要であり、また、生産設備の建設にはある程度研究が進捗する必要があるので、この時点では生産することが出来ない。また、レアメタルについては地球に輸出して資金確保の手段として活用することが出来る。

生産設備の建設と維持には資源を消費するため、上級資源を必要とする設備の建設は慎重に行う必要がある。プレイ開始時点での資金、上級資源の量は難易度により変化するが、自分はVery Easyを選択したためそれほど不足に悩むことはなかった。

まずは地表の金属を採取し、コンクリート、水、燃料の生産設備を整えることから着手。火星表面のスキャンが進み、レアメタルの鉱脈が見つかった時点でその周辺に基本ドームを建設し、入植の準備を整えた。難易度が高い場合はレアメタルによる資金の確保が当面唯一の上級資源確保の手段となるので、レアメタルが見つかるまでは入植を待った方が良いだろう。

行程②:入植開始~入植地の自立

f:id:Martin-A:20191118114159p:plain

入植開始後、都市の快適性などのステータスを維持向上させる設備は最低限に留めておく。人員配置は診療所、食堂、宇宙バーで各シフトに一人ずつ、合計9人程度で良いだろう。それに加えて食料生産に必要な人員が必要なので、最初の移住者は都市インフラに優先的に配置することになる。本格的な増産体制の拡張は2回目の移住者到着後に着手する。

まずこの工程で目指すべきは上級資源の自給体制を整えること。そのための研究を進める必要があるので、人員は資金確保のためのレアメタル工場と、研究促進のための研究所に集中する。そのため移住者の専門分野は地質学者と研究者を優先する。

研究は工学技術とロボット工学を優先。上級資源工場のアンロックに必須であることに加え、ロボット工学でドローンハブ、工学技術でアパートメントおよび中規模ドームのアンロックをしておくとその後の生産設備や都市の増設がスムーズになるだろう。

難易度が低い場合は手元資金が豊富なので、研究をまたずに生産設備を地球から購入してしまう手もある。上級資源のうちポリマーについては発電施設などの維持にも必要であり、中盤最も手元の在庫が不安になる資源であるため、自分は地球から購入して早々生産体制を整えた。この時点では金属鉱脈がなかなかスキャンで見つからず、資源確保苦慮していたので、電子、機械部品工場は金属資源の発見後に研究完了を待って建設に踏み切った。施設の建設に合わせて技術者を中心とした追加の移住者を迎えた。

この時点で基本ドーム4つに移住者が100人を超えていたと思う。

行程③:都市の拡大+最適化

f:id:Martin-A:20191118114225p:plain

上級資源の自給体制が整ったあたりから、都市管理をなおざりにしてきた影響が出始める。快適度や正気度が下がる他、そろそろ移住者の高齢化も顕在化してくることになる。そのため各種資源の生産状況を見つつ、補強、メンテナンスを行いつつ、各ドームの都市インフラの配員や整備にしばらく専念し、都市環境の向上を行う。

その後のプレイについてはプレイヤーの選択次第。上級資源の自給体制が整えば、そうそうに詰む事態にはならないので都市の拡大に走るも良し、各ドームのQoA向上に努めるもよしだ。自分は研究の促進に資源を集中した。このあたりになると移住者だけでは各施設の専門分野を満たせなくなるので、一部の都市に大学を建設して不足者を補った。このあたりから基本ドームでは設備のスペースが足りなくなるので中型ドームの建設を始めた。また、ドームの数が増えてきたこともあり、各資源の配分がドローンだけでは賄えなくなりつつあったので、シャトルハブを建設することでロジスティクスを増強した。

各ラインの研究が終了した時点で遺産の建設に着手した。遺産建設の順番はお好みだが、モホール坑と起動エレベーターを優先することをお勧めする。前者は金属とレアメタルが無限に入手できるし、後者は地球との交易効率が格段に上がる。そのため他の遺産建設が格段に楽になるだけでなく、関連する設備の人員を他に回すことが出来るのも魅力だ。

7つの遺産全てを建設し、移住者の人口が500人を超えたところで初回のプレイを終了した。

総評

上記の流れは自分のプレイでの記録だが、実際には各プレイヤーにより選ぶ工程は様々だろう。例えば入植者なしの縛りで可能な限り実績解除を目指すなんてプレイもありだ。手間はかかるがエリアの全てを都市で埋め尽くすことも可能だ。

都市育成のシムとしては、例えば『SimCity』や『CitiesSkyline』に比べると規模が小さく地味な部類に入る本作だが、火星と言う舞台やドローンによる建築など独自の要素があり、研究などのやりこみ要素も多く、プレイするとなかなかにハマる作品だと思う。

UIや音楽もおなじParadox社の『Stellaris』を彷彿とさせる雰囲気満点の作品。

もしPCで眠らせたままにしているならば、一度プレイしてみることをお勧めする。他に積みゲーが残っていなければもっと時間を食われていただろう作品だ。

f:id:Martin-A:20191118130524p:plain

しかしこのメッセージは卑怯だろう...

『S.T.A.L.K.E.R CALL OF PRIPYAT』 最早老舗の味わい

f:id:Martin-A:20191105141346p:plain

 『S.T.A.L.K.E.R CALL OF PRIPYAT』をクリア。所要時間は17時間。

STALKERシリーズ3作目。前作CLEAR SKYは前日譚だったが、本作は初代SOCから後の話となっており、時間軸で言えば本作が続編にあたる。

 驚くべき進歩の無さ。だがそれが良い

f:id:Martin-A:20191106224953p:plain

シリーズ3作をプレイして感じるのだが、驚くほどにそのプレイスタイルに変化がない。憚りなく言えば進化がない。2007年に初代がリリースされたのち、ほぼ1年ごとに続編をリリースするその間隔を考慮すれば当たり前かもしれないが、それにしても変わり映えしないのだ。

最新作である本作すら既に10年以上前の作品。当然現在のFPSと比べれば本シリーズのクオリティは比べるべくもない。UIはマウス&キーボード前提でパッド未対応。エイムアシストもない。全体マップは見づらい。ナビゲーションも貧相。物理演算しているとは思えない程弾の散らばりも雑。現在のFPSにおけるクオリティに比較すると、非常にアナログ的な感覚すら覚える。

f:id:Martin-A:20191106225952p:plain

にもかかわらず、それがなんとも言えないシリーズの魅力になっている。レトロゲーとしての面白さとは少し違う。本作の舞台となるZONEの荒廃且つ殺伐とした雰囲気にはこのアナログな操作感がなんともしっくりくるのだ。前作CLEAR SKYを始めた時にも感じた”ZONEに帰ってきたなあ...”という感覚は本作でも健在だ。

シリーズ中最も平穏な作品?

f:id:Martin-A:20191106231232p:plain

もっともSTALKERシリーズの作品として本作を見た場合、評価は前2作には劣ると言わざるを得ない。

第1にボリューム。3作中最も小さい。前日譚である2作目CLEAR SKYのボリュームにも及ばないと言うのはどうしたことだろうか?1作目のMAPを使いまわしたCLEAR SKYと異なり、本作ではほぼ新規MAPが舞台となっており、その点は評価できるのだが、その広さたるや1作目と比較して半分程度ではないだろうか?プレイ時間、マップ、いずれにおいても3作中最小。自分としてはもっとZONEでの探索を楽しみたい気分だった。

第2にドンパチ要素の少なさ。本作は前2作では一貫して敵陣営であったMilitaryに所属するデグレチャフ少佐が主人公となり、軍事作戦中に謎の墜落事故で行方知れずとなった部隊の調査を行うプロットとなっているのだが、捜索がベースとなるシナリオのせいか、小規模な戦闘が大半を占めている。第1作において、ZONEの謎を巡りMilitaryやMonorith等、いくつもの陣営を向こうに回し、敵部隊を単身相手にした戦場に比較するといかにもスケールダウンの感は否めない。終盤の最終エリア移動後は流石に多少戦闘の規模が大きくなるが、それでも第1作とは比較にならない。なんと言うかリリースの度に小さくまとまっていくようで不満が残る。なんというかZONEも随分とぬるくなってしまったな、と寂しさすら感じる始末だ。

果たして『S.T.A.L.K.E.R 2』はどうなるのか?

f:id:Martin-A:20191106232346p:plain

Stalkerと言えば、続編である『S.T.A.L.K.E.R2』のリリースが2021年に予定されている。シナリオ的には本作は完結編という扱いでもなく、ZONEの謎がなんら解決されているわけでもないので、次回作では如何様にも展開できるだろう。

少々気になるのは本作において、本シリーズの中心人物であり、1作目の主人公であるStrelokの扱いだ。ZONEにおける謎の中心に位置していると思われたStrelokだが、本作において実にあっさりと登場し、そしてあっさりとZONEの中心と言う舞台から降りてしまった。彼無しに第1作の正当な続編を作るのは難しいと思っていたのでこの展開は意外だった。こうなると『S.T.A.L.K.E.R2』はシナリオ的には完全な仕切り直しということもあり得そうだ。

www.youtube.com

ただ公開されているトレーラーを見るとStrelokらしい人物が移っているんだよねえ...。冒頭の白衣を着た富士額はおそらくStrelok。エンディングにおける描写とも一致する。となるともう一度彼がZONEに舞い戻るという展開もありうるのか。個人的にはそちらの展開が見てみたいところだ。

ちょっとした余談

f:id:Martin-A:20191106233529p:plain

本作の評価には全く関係ない話だが、ちょっと気になった点があった。本作のエンディングはプレイ内容によって細かく変化する。ミッションの達成度、仲間の生存数、その他諸々が影響してクリア後に語られる関係者のその後が細かく変わるものとなっている。

このエンディングの手法やスタイル、そのまんま『Fallout New Vegas』と同じなのだ。

ちなみにリリースは本作がNew Vegasの1年前。いや面白い偶然もあるものだ(ということにしておこう)。

 

以上でStalker3部作のプレイ完了。なんだかんだと文句を言いつつ最新作もプレイすることになりそうだ。

f:id:Martin-A:20191106234311p:plain

 

『ABZU』 素晴らしいクオリティ、そして逃れられぬ呪縛

f:id:Martin-A:20191105204818p:plain

『ABZU』をクリア。所要時間は2時間。

2時間という所要時間から分かるように非常に小規模な作品。本作についてはその内容を紹介されるにあたり、枕詞のように繰り返される文句がある。「あの『Journey』のクリエイターの作品」というやつだ。

『Journey』と言えばthatgamecompanyによるインディーズ・ゲームの名作として名高い作品。自分もPS3でプレイ済だが、その圧倒的な個性を持つビジュアルとプレイスタイル、質の高い音楽、そして寓意的な作品性は正に名作と呼ぶにふさわしい作品だった。その名作と常に並べて評されるというある種の不幸を背負った作品なのだが、そのクオリティは期待を裏切らないだろう。

”ゲーム”の多様性を示す一作 

f:id:Martin-A:20191105210106p:plain

本作の内容を一言で説明するのは難しい。『Journey』と同様、本作も明確なジャンルを定義することが難しい作品だ。海洋アドベンチャーとも言えるしダイビングシミュレーターともいえるが、同時にそれだけでは説明が不足している。

f:id:Martin-A:20191105210832p:plain

f:id:Martin-A:20191105210856p:plain

プレイヤーは何の説明もないままに、古代の遺跡とも宇宙文明とも見受けられる様相のギミックを解きつつ、海洋を進んでいく。南海のラグーンに始まり遠洋を経て、深海にまで到達する。

f:id:Martin-A:20191105211423p:plain

f:id:Martin-A:20191105211456p:plain

f:id:Martin-A:20191105211520p:plain

プレイを進めていくと作品設定や背後のストーリーらしきものは伺えるが、それを大上段に考察するのは無粋だろう。この美しく広大な海洋スペクタクルを体験すること自体が本作の”ゲーム”としての特徴と言うべきだ。その圧倒的なビジュアルと心地よいBGMはセラピー的な印象すら感じられるものだ。

ジャンル付けが難しい作品なだけに、本作は現在のゲームにおける多様性を示す作品であると言える。ゲームに関心の無い層、未だにゲームと言えばファミコンのピコピコ的イメージしか持たない人々に、現在のゲーム市場の豊饒さを示すにふさわしい作品の一つにあげられるだろう。

それでも感じる名作の呪縛

f:id:Martin-A:20191105214220p:plain

f:id:Martin-A:20191105214255p:plain

とはいえ手放しの賞賛のみで終わる作品でもない。指摘すべきはやはり『Journey』との連想だ。『Journey』をプレイ済の自分が本作に感じたのはその保守性だ。確かに作品のクオリティには文句のつけようもないが、そのスタイルにおける『Journey』との類似性は隠しようもない。本作を”一言で説明するのは難しい”と先述したが、実は一言で説明できる。”海を舞台にした『Journey』”と言えば良いのだ。『Journey』をプレイ済ならそれで通じるだろう。Thatgamecompanyが『flOw』、『Flowery』、『Journey』と作品ごとに打ち出してきた圧倒的な独自性はそこには見られない。いわば”Journey-like”とも言うべきスタイルがそこに見える。比類なき独自性を誇る先達の存在故に、本作はその高いクオリティにも関わらず今後も『Journey』との連想で語られる運命を逃れられそうにもない。仕方のないことだが少々残念でもある。

個人的に不満な点

f:id:Martin-A:20191105215257p:plain

『Journey』との類似性とは別に、全くの主観で不満な点も幾つかある。

1点はその操作性。海中を自由に回遊するというコンセプトに対して意外に操作性が悪く感じた。正直思うように動けない場面が多い。海中を漂う浮遊感はうまく表現できているのだが、自由が利かないのでなかなか苦労した。海中を舞台にした作品としては少々興ざめした部分があることは否めない。

f:id:Martin-A:20191105215329p:plain

2点目はその根底にある過剰なエコロジー思想。ある種の分かりやすさを優先した結果と思いたいが、自然を善きもの、科学文明を避けるべきものとするあざといまでのメッセージ性は正直肌に合わない。作品の表層が非常に寓話的であるだけに、底の浅さとして粗が目立つ結果となってしまった印象だ。単に好き嫌いの範疇ではあるが、もっとそのメッセージを記号と寓意の中で煙に巻いてくれた方が色々と妄想も捗るのではないだろうか。

単体で見ればやはり優れた作品

f:id:Martin-A:20191105221616p:plain

色々と指摘したい作品ではあるのだが、やはりそれは偉大な先達である『Journey』あってのこと。そこを離れて本作を1本の作品として、客観的な評価に努めれば、やはり本作は優れた作品と言えるだろう。ボリュームは非常に短いものの、その作品世界で得られる体験は素晴らしく上質なものだ(唯一無二とは言えないが...)。

¥1,980という価格は割高に思えるかもしれないが、RPGや格ゲー、FPSなどの”普通”のゲームに食傷気味ならば、ちょっとしたアクセントとしてセール時に購入するのは悪くない選択だ。

f:id:Martin-A:20191105221546p:plain