『Outer Wilds』Venturesは何処でつまづくのか?

2020年にプレイした作品の中でも抜群の衝撃度だった『Outer Wilds』。

martin-a.hatenablog.com

 ゲームプレイにおけるその特徴は、プレイ開始直後から、いつでもエンディングに到達出来るという究極のオープン設計と、その裏腹な”不親切さ”にある。本作はあまりにもオープンに設計された宇宙を寄る辺なく孤独に探索するところにその醍醐味があるのだが、あまりにガイド的な情報が少ない(というよりほぼ皆無)ため、プレイしてしばらくは何をしたらよいか分からず、徒に宇宙を彷徨うことになりがちだ。おまけに独特の癖がある探査船の操作はなかなか難しく、各地に配置された謎解きやギミックも高度だ。

そのため途中で挫折するプレイヤーも多いだろう。自分も危うくそうなりかけた口だ。幸いにも攻略サイトの類は見ずにクリア出来たので、後進となるVenturesの為に自分が苦労したポイントについて攻略Tipsとして動画を作り、Youtubeに投稿しておいた。

動画を投稿して5か月ほど経過したので、動画を再生回数順に並べてみた。この動画リストではシナリオ関連のネタバレは一切行っておらず、純粋に探索やギミックの解説に絞っているので、視聴者はおそらく本作のプレイヤーが殆どだと思われる。再生回数の傾向を見ることで、他のVenturesが何処で苦しんだのか分かるだろう。

投稿した動画は14本。まずは14位~6位。※2020/12/30 14:45時点)

 

14位:探査機追跡モジュール 190回

13位:破裂したコア 199回

12位:サボテンに塞がれた部屋 216回

11位:空中都市 219回

10位:ブラックホールの鍜治場 309回

9位:高エネルギー研究所 311回

8位:第6の場所 328回

7位:太陽ステーション 438回

6位:灰の双子座プロジェクト 456回

 

続いて5位~1位をそれぞれ動画へのリンク付きで紹介。

5位:量子知識の塔 459回

youtu.be

4位:船 480回

youtu.be

3位:太陽なき街 494回

youtu.be

2位:湖底の洞窟 507回

youtu.be

1位:南部観測所 512回

youtu.be

クリア済のプレイヤーにとってはなかなか示唆に富んだ順位となっているのではないだろうか?個人的には「第6の場所」の順位が意外に低い点と、「太陽なき街」の順位が高い点が興味深い。後者については本作でおそらく最初の探索対象となる場所であろうことがその理由と考えられる。前者については流石にここまでたどり着いたVenturesの多くは自力で答をだしたという事なのだろうか?

 

全ての動画は以下のチャンネルに投稿している。現在STEAMやEpic Games Storeで大規模セールが実施中のため、新たに本作を購入したプレイヤーも多いだろう。新たなVenturesにとって探索の一助となれば幸いである。

www.youtube.com

 

 

2020年にプレイしたゲーム私的BEST5

前回の記事で今年プレイしたゲームを振り返ってみたが、本稿ではその中から私的BEST5を選出する。「2020年にプレイした作品のBEST5」なので、「2020年に発売された作品のBEST5」ではない。寧ろプレイした作品に今年発売されたものは殆ど無い。何なら一番古い作品だと20年近く前の作品すらあるほどだ。基本的にSteamのセール時にまとめて購入した作品をプレイしているので、発売直後の最新作には正直それほど関心が沸かない。寧ろ一年経過するだけで半額以下になる作品が殆どなご時勢なので、フルプライスでの購入はよほど好きなメーカーなりシリーズしか食指が動かない。今後もこの姿勢は変わらないだろう。

それでは2020年の私的BEST5を簡単に紹介。各作品についての批評はリンク先に詳しく書いているので、ここではそれぞれ簡単に振り返るのみとする。

第5位:DOOM(2016)

martin-a.hatenablog.com

 「シューターってのは、走って、撃って、キモチ良くてナンボ!」という事を改めて確認した作品。とにかく走り、そして撃つ。究極のところそれだけの作品なのだが恐ろしい程に徹底されたそのスタイルがとにかく楽しい。『Half-Life』以降のシナリオ・ドリヴンなプレイスタイルに対するFPS源流からのアンチテーゼ。頑ななオールドファッションの固持が逆に孤高のスタイルを際立たせている稀有な作品。

第4位:Cave Story+洞窟物語

Epic Games Storeの無料配布で入手した作品だが、これは正直購入してプレイすべきだったと後悔した。秀逸なアクションシューティングと王道の冒険活劇が最高のBGMで楽しめる。名前も評判も耳にしていたのに、これほどの名作をなぜ今までプレイしていなかったのか。

martin-a.hatenablog.com

 第3位:Armored Core for Answer

martin-a.hatenablog.com

 今年はACを本作以外にもV系の2作をプレイ(『AC4』は昨年プレイ済)。中でも本作が総合的に最も評価が高い。操作感、シナリオ、BGM、ビジュアル、雰囲気、キャラクター、全てが素晴らしい。爽快なプレイングフィールと裏腹にハードな世界観とシナリオのコンビネーションに痺れる。なんで今までプレイしてなかったのか不思議でならない。

第2位:Outer Wilds

martin-a.hatenablog.com

 2020年にプレイした中で衝撃度No.1。かつてなくオープンに設計された宇宙に何の寄る辺もなく放り出される突き放したコンセプト。昨今の親切過ぎる設計のオープンワールドとは真逆のデザインだが、これが正解であることはクリアして初めて理解できる。冒険と探索に伴う苦難と困難を味わってこその作品なのだ。これは間違いなく確信の元にデザインされたゲーム性であり、それを実現した制作陣の力量と覚悟は計り知れない。

第1位:SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE

martin-a.hatenablog.com

 広義にソウルシリーズの範疇に在りながら、全く新しいアクションの地平を切り開いた傑作。アクションのみならずシナリオ面でもソウルシリーズと全く異なる方向性が示されており、今後のフロムソフトウェアを占う上で本作の成功は非常に重要だと思う。しかしソウルシリーズ完結の次にこんな作品を発表されたらライバルはたまったものではないだろう。同社の底知れない実力を思い知った作品。今年一番没入した作品であることは間違いない。(だから早く『Elden Ring』の続報を!)

 

以上の5作品となった。今年も実に良い作品をプレイすることが出来た。来年もまた色々な作品を発掘していきたいものだ。

 

2020年にプレイしたゲームをプレイ時間で振り返る

2020年も残りわずかという事で今年プレイしたゲームを振り返る。記事の執筆時点でプレイした作品は34本。基本的にクリア済の作品が対象で未クリアの作品やお試しで2、3時間プレイしただけの作品は含まない。プレイ時間の少ない順に振り返っていきたい。

 

34位 Refunct:0.5時間 

martin-a.hatenablog.com

 天才Dominique Grishofer氏のデビュー作となる1人称パズルアクション。グラフィック、BGM、プレイングフィールの全てが高品質。酔いやすいのだけが難点。

33位 BEAR,VODKA,STALINGRAD!:1時間

martin-a.hatenablog.com

 クマがナチと戦うFPS。ネタゲー。でも結構楽しめた。以上。

32位 Bright Memory:1時間

martin-a.hatenablog.com

 製作者がやりたいこと全てを盛り込もうとしているFPS。製品版が非常に楽しみ。

31位 Dear Esther:1時間

martin-a.hatenablog.com

 ウォーキングシミュレーター的な雰囲気ゲー。”ゲーム”という定義が当てはまるものか考えどころ。

30位 SWARMLAKE:2時間

martin-a.hatenablog.com

 2作目でもその才能を見せつけたDominique Grieshofer氏。最高に爽快なスコアアタックFPS。BGMがとにかく格好いい。

29位 Audiosurf2:2時間 

martin-a.hatenablog.com

 ”音ゲーメーカー”的な期待をすると肩透かしを食らうかもしれない。

28位 フィンチ家の奇妙な屋敷で起きたこと:2時間

martin-a.hatenablog.com

 ゲームと言う”メディア”でナラティブを語るその手法が非常に優れた作品。

27位 Mini Transport:2.4時間

martin-a.hatenablog.com

 点と線だけで表現された物流シム。ボリュームは小さいが難易度はシビアでやり応えのある作品。

26位 トロピコ1:5時間

martin-a.hatenablog.com

 トロピコシリーズの初代。流石に古い作品だが古いなりに楽しめる。ユーモアのあるBGMや雰囲気が楽しい。

25位 ORWELL:Keeping An Eye On Yo:7時間

martin-a.hatenablog.com

 ADVにおける最前線の手法を感じさせる作品だがシナリオが非常に雑。

24位 OpenTTD:8時間

グラフィックはスーファミレベルながら内容は充実。フリーゲームだが物流シムはこれ一本でもかなり満足できると思う。

martin-a.hatenablog.com

23位 嗜血印 Bloody Spell:10時間

martin-a.hatenablog.com

 ふーんエッチじゃん。(アクションとしても普通に楽しめます)

22位 Project Nimbus:11時間

martin-a.hatenablog.com

 タイ産のハイスピード・ロボットアクション。AC亡者の欲求を満たしてくれた。(但し機体のカスタムはない)

21位 Undertale:11時間

martin-a.hatenablog.com

ノーマル・グッド・トゥルー、それぞれのエンディングの持つ意味を考えさせられた。あとGルートは断念した。 

20位 DOMINA:12時間

martin-a.hatenablog.com

 ローマ剣闘士という素材の珍しさとカジュアルなプレイ感の出来の良さが光る育成シム。ドット絵のグラフィックも味がある。

19位 Crysis:16時間

martin-a.hatenablog.com

ナノスーツの性能が想定の3倍くらいポンコツだった。一本道FPSだが戦闘の自由度の高さは特筆すべき。 

18位 Half-Life2:18時間

martin-a.hatenablog.com

 初代も名作だったがこちらも劣らない。初代でやりたかったことを当時最新のエンジンで実現したことが伺える素晴らしい出来。

17位 Blueprint Tycoon:18時間

martin-a.hatenablog.com

 『Mini Transport』程ではないがこちらも抽象度の高い産業シム。低コストを逆手に取り、拡大ではなく均衡を重視したゲームデザインが光る。

16位 Cities:Skylines:20時間

martin-a.hatenablog.com

現在の都市育成シムの代表格。詰まないデザインは確かに初心者向けで良く出来ている。時間を見つけてもう一度プレイしたい。 

15位 ARMORED CORE VERDICT DAY:20時間

martin-a.hatenablog.com

 キャンペーンの出来と難易度は『V』を上回る。マギーとファットマンのキャラ付けが大層気に入った。

14位 Cave Story+洞窟物語:20時間

martin-a.hatenablog.com

アクションシューティングとしても冒険活劇としても傑作の名に値する一品。カーリーが凄く可愛い。

13位 DOOM:21時間

martin-a.hatenablog.com

 ブログのタイトル以上に言うべきことは無い。快楽としてのFPSを極めた一作。

12位 Stronghold Crusader2:25時間

martin-a.hatenablog.com

 ”防衛”というオリジナリティからどんどん遠ざかるStronghold。

11位 ARMORED CORE V:25時間

martin-a.hatenablog.com

 プレイングフィールがガラリと変わった『V系』。個人的には『4系』よりもこちらが好み。

10位 Salt&Sanctuary:25時間

martin-a.hatenablog.com

 本作の真価はソウルライクでありながらカジュアルという絶妙なバランス設計にある。

9位 Fallout3:30時間

martin-a.hatenablog.com

 Wastelandは最高に楽しい舞台装置だが、21世紀も生き残ることが出来るか考えずにはいられない。

8位 FTL:Faster Than Light:31時間

martin-a.hatenablog.com

 31時間かかってようやくイージーをクリアという高難易度。1プレイが短いので中毒的にハマってしまう罪なゲーム。

7位 Armored Core for Answer:32時間

martin-a.hatenablog.com

 プレイ感、シナリオ、BGM、ビジュアル等全てにおいて満足。『4系』『V系』通じて総合的には最高の作品。

6位 Just Cause3:33時間

martin-a.hatenablog.com

 シナリオは荒唐無稽で破綻しているが、バカゲーとしては楽しめた。オープンワールドとしてはサイドミッションが単調で不出来。

5位 Stronghold2:36時間

martin-a.hatenablog.com

 これまでにプレイした4作品の中では異質な作風でストーリー重視。難易度は一番簡単だったと思う。

4位 Outer Wilds:50時間

martin-a.hatenablog.com

 衝撃度と言う点では2020年で一番の作品。これほどまでに”オープン”なゲーム世界を見たことが無い。このゲームデザインを確信的に作った制作陣には畏怖すら覚える。苦痛すら感じる探索の果てに最高のエンディングを見た。

3位 Stalingrad:75時間

martin-a.hatenablog.com

 購入価格で考えると今年一番コスパの高かった作品。

2位 SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE:115時間

martin-a.hatenablog.com

フロムソフトウェアという会社はしみじみとんでもない会社だと実感した。今年一番満足度が高かった作品。早くEldenRingをプレイしたい! 

1位 地球防衛軍5:275時間

martin-a.hatenablog.com

 『4.1』から正しく進化した続編。相変わらず面白い。『6』にも期待したいがPC版のリリースは相当待つことになるだろう。

 

このブログでは大体1週間に一度のペースで記事を投稿しているので、34本と言うのは意外に少ない印象。次稿ではこの中から今年プレイしたBEST作品を選出する予定。

STEAMウィンターセール2020:500円以下で買えるお勧め10作品

youtu.be

現在STEAMでウィンターセールが開催中。これまでにプレイした作品から500円以下で購入できるお勧めの10作品をまとめた動画をYoutubeに投稿しました。

有名どころからマイナー作品まで、いずれも自分でプレイして、自信を持ってお勧めできるゲームばかりです。

購入するゲームを選ぶ際の参考になれば幸いです。

 

www.youtube.com

チャンネル登録よろしくお願いします。

『OpenTTD』”不自由”を楽しむ

f:id:Martin-A:20201202134831p:plain

OpenTTD』をプレイ中。物流系のシムをプレイしたくなったのだが、Steamウィンターセールまで残り僅かな今の時期は購入するタイミングが良くない(オータムセールでは基本購入しないので)。とりあえずセールに向けてゲームを見繕っていたところに本作の情報に触れ、プレイしてみることにした。

本作は1994年に発売された物流シム『Transport Tycoon Deluxe』のゲームエンジンを用いて開発されたフリーゲームで、ネットでの評判も上々。物流に焦点を当てたシムはこれまでそれほどプレイした経験が無かったので、とりあえずのお試しプレイだ。

f:id:Martin-A:20201202135611p:plain

本作の基本的なコンセプトは物流シムとしては非常にオーソドックスなもののようだ。マップの各所に街と産業(1次産業と2次産業)が配置されており、それらの間を結ぶ物流網を整備して、車両を配備して産業を回す。輸送による収入で事業を拡大し、商品を運ぶことで街の人口を増やしていくのが基本的なプレイの流れだ。

オーソドックスであるのも当然の話で、本作の元となった『Transport Tycoon』をはじめとする同時期のシム系作品が、今に至るまでの物流系シムの源流となっているからだろう。プレイヤーが繋げる産業も林業、炭鉱、製鐵、農業、旅客など多岐にわたり、物流を構築する手段も自動車、列車、船舶、航空機と一通りが備わっている。『Transport Tycoon』が1994年、本作が2011年のリリースだが、物流シムに求められる要素の大部分は本作に既に備わっていると感じた。

f:id:Martin-A:20201202140346p:plain

グラフィックについてはスーファミ世代には懐かしさを感じさせるもので、この点は現在の物流シムとは比べるべくもないが、このドットで表現されたマップで自らが敷いた道路や線路を車両が目まぐるしく動き回るのを眺めるのは中々楽しい。列車や船舶、航空機の種類も中々豊富で、スペックも細かく設定されているので選ぶ楽しみもある。車両についても同様の豊富さがあれば尚良かったが、それはちょっと贅沢な要望というものだろう。

経営シムとしても中々に細かく、収益状況を睨みつつ事業計画を建て、必要に応じてローンを組んで事業を拡大していく。維持費の管理や各路線の採算を見ながら収益を伸ばす方策に頭を悩ませる。産業シムとして基本を押さえており、なかなかの出来栄えだと思う。

f:id:Martin-A:20201202141453p:plain

とは言えやはり15年以上前の作品を基にした内容なので、近年の物流シムと比較すれば不自由さの多い作品でもある。升目状に作られたマップで敷くことの出来る道路や線路のパターンは非常に少なく、思ったようなラインを描くのはなかなか厳しい。ちょっとした段差のせいで路線の整備を邪魔されることもしばしば。車両管理についても融通が効かない。

(しかし列車の信号管理についてはかなり細かく管理可能。年代を考えれば出色の出来と言っても良い)

とは言え本作についてはそれを不満として抱えてプレイする作品ではないだろう。少し前に批評を書いた『トロピコ1』もそうだが、このようなクラッシックな作品では不自由な点こそ楽しむべきポイントだ。思い通りにもゆかず、そもそもやれることも多くない。だからこそ腰を据えて、同時にのんびりと楽しむのが吉と言うべきだ。やれることが多いということは、裏返せばやることに追われるということであり、『トロピコ1』や本作で味わうようなプレイ感覚は、現代の最新シムではなかなか味わえないものだろう。

f:id:Martin-A:20201202142238p:plain

最初のプレイは20年程で会社の資産が100万ドルまで貯まった。手探りで進めたせいでそろそろ鉄道網の管理が厳しくなってきたので一旦これで終了。次のプレイではもう少しマップ全体を眺めて計画的にすすめたい。